2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

マルクスの人々

わたしが大学に入ったのは1980年代の半ばだ。 当時はまだソ連や東欧に社会主義政権が残っていた頃で、今ほど、マルクス主義は落ちぶれていなかった。 授業でも、マルクス経済学を教える先生が結構いた。 大学の先生になるくらいだから、理屈は得意だったろう…

理屈

この日記では、理屈を、しばしば「リクツ」と書いている。 わたしが理屈というものに今ひとつ信用を置いてないからだ。 昔はそうではなかった。 何しろ、この世に生まれ出るとき、ポアンカレ予想を証明する数式を口ずさみながら出てきたというくらいで、驚い…

日本の危機

とまあ、前置きが長くなったが、別に「戦後政治の検証」をしたいわけではない。ええ。身の程はわきまえております。 わりかしカンタンに――つまり、周りとしてはそんなに困らずに、我がポンニチを困らせる方法がある。 昨日も少し書いたが、醤油止め。味噌止…

経済制裁

経済制裁というのがあるが、あれは、する側はさほど困らないが、される側は困る場合にやるもんなんだろう、と思う。 例えば、何かと毎度お騒がせのK国。 あそことの貿易をよしても、日本は松茸や朝鮮人参が高くなるとかその程度だろうが(ヤだのボだのの方面…

物断ち

これまでに物事を断つということをしたことがない。 物を断つほど何かを強く願ったこともなければ、物忌みをするほどの信心もないということだと思う。 まあ、ごく無駄に生きているわけである。 断つと言えば、酒を断つということがまず頭に浮かぶ。 最近は…

無駄念力

しかしね、あたしゃあ、あえてここで念力を持ち出したい。 いや、物を浮かしたり、スプーンを曲げたりするには、強力な念力がいるよ。普通の人間はそんなもの持っていない。 しかし、人間にはわからないくらいの地道さで、棚の上の物をにじりにじりさせるく…

物はなぜにじるのか?

何もしてないのに、棚から物が落ちることがないだろうか。 わたしには時々ある。 別に地震があったわけでも、近くで工事が行われているわけでも、ダンプカーが通ったわけでも、風が吹いたわけでもないのに、本やら薬の箱やらポケットティッシュやらが落ちる…

魁皇、北桜

長年、大相撲を見ていなかったのだが、今年の夏くらいからちょぼちょぼ見ている。 今場所の前半の盛り上がりをもたらした一番手は何と言っても、魁皇だった。そうして、後半の盛り下がりの一番手も、やっぱり、魁皇だった。 年齢を見ると、魁皇は貴乃花と同…

仕草、言葉遣いを取り出す

たまに、テレビなどで、落語家が仕草を演じ分けてみせることがある。 たとえば、うどんを食うときはこうだが、そばを食うときはこう、とか。 それ自体は別にいいのだが、司会者なんかが「落語ってすごいんですねえ」などとわざとらしく感心してみせると、ン…

落語

相変わらず、落語をよく聞いている。 CDから携帯音楽プレーヤーに落として(関係ないけど、なんで落とすって言うのかね?)、電車の中などで聞いている。 満員電車だと本を読むのは難しいし、まわりの迷惑になりかねないが、携帯音楽プレーヤーなら問題ない…

この国の世界

少し前に、バッハを「音楽の父」と呼ぶのは西洋音楽の傲慢(正確には、西洋音楽側に立ってそう呼ぶ人の傲慢と浅はかさ)で、他の音楽に対して失礼だと書いた。 日本人=農耕民族、欧米人=狩猟民族という論の立て方にも、似たところがある。 これ、真面目な…

この国の外国

日本人=農耕民族、欧米人=狩猟民族という論の立て方があって、あまりにも馬鹿馬鹿しいと思うのだが、なぜだか廃れない。 話を第一次産業に限ったとしても、ヨーロッパでは随分昔から農耕、牧畜が行われていたろうし、ゲーム的なものを入れても狩猟が農耕、…

欧文の多用

日本人の英語の読解力は、平均値を取ると、かなり心もとないだろう。 しかし、心もとない割に、英語やフランス語の単語や文章が氾濫している。広告、商品パッケージ、看板などに、しばしば、さして必要がないのに使われる。 今、「心もとない割に」と書いた…

江戸っ子の英語

あたしゃあ、こう見えてもチャキチャキの江戸っ子だ。 江戸っ子にしちゃあ垢抜けないって話もあるが、裏日本出身の江戸っ子ながでね。江戸の言葉は通信教育で習ったクチだ。ま、しょうがねえやな。 で、だ。 ちいと考えたんだが、江戸っ子が英語を習うとどう…

肉まんピアニスト

日曜の夜にテレビをつけたら、東アジア系の若いピアニストが、オーケストラをバックに演奏していた。 ピアノを弾きながら体を大きく動かし、表情が百面相的に変わる。 何だ何だ、と思わず見入ってしまった。 突然目を剥いたり、眉根を寄せたり、鍵盤にへばり…

ネジと人形

小学校低学年の子供の前に、ドライバーと目覚まし時計のセット、それから可愛い人形を置く。 あくまで想像なのだけれども、男の子の多くがドライバーと目覚まし時計のセットを、女の子の多くが人形を取るのではないか(誰か、実験してみてくれ)。 そうして…

絵の計算

などと書きながら、頭の遊びを続けるのだが、北斎という人は、こういう線の仕掛けを多用したらしい。 次の絵は渦ではなく、円がテーマ。富士山があるから、絵が決まる。 ・「富嶽三十六景 尾州不二見原」(江戸東京博物館) 次の絵は直角三角形。 ・「富嶽三…

波のカーブを見る

なるほど、あらためて見直すと、この絵の波にはたくさんの渦巻くカーブがある。 目立つカーブをなぞってみよう。 模写したものを使って申し訳ないが、構図自体はそう違っていないはずだ。ディテールはヘタクソだけれども。 元の絵はこれ。 まず、こういうカ…

渦の絵

先週、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の模写をあげた。 ・稲本喜則名画の部屋 - 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 新潮日本美術文庫の「葛飾北斎」(ISBN:4106015374)を見ていたら、「神奈川沖浪裏」について、こんなことが書いてあった。 自然と人間の…

漢語との合わせ技

これもこの日記で何度も書いてきたのだが、中国由来の言葉、漢語には大げさな表現が多い。 さっきの「万死」なんていうのも、大げさな漢語の例だ。 でもって、漢語(特に四字熟語)の大げささと、先ほど書いた「自分(の行動)について語るとき」、「相手の…

日本語の誇張

逆に、「自分(の行動)をとがめるとき」や「相手(の行動)を持ち上げるとき」には、誇張した表現をよく使う。 例えば、「ありがとう」の元は「有り難い」だが、実際にはそんなに有ることが難い(=珍しい)場合じゃなくても、使う。 「あ、忙しかったら、…

日本語の抑制

この日記で何度も書いてきたが、日本語を母語とする人には、割と言葉を弱めたり、丸めたりする傾向があるようだ。 今、わたしが書いた、「割と」とか、「傾向があるようだ」なんていう言い方も、そのせいだろう。 もう少し正確に言うと、「自分(の行動)に…

コケ4

しかしまあ、なぜにこうもよくコケるのかと思う。 昨日も、コケたわけではないが、店に入ろうとして自動ドアに鼻先をブツケた。眼鏡が斜めにズレ、女の店員に、 「大丈夫ですかっ?!」 とやけに大声で心配されたものだから、店中の注目を集めてしまった。 思…

コケコケコケ

ガキの頃はありとあらゆるところでコケていたが、大人になってからは、なぜか人前でばかりコケている気がする。 それとも、相変わらずあらゆるところでコケているのだが、人前でコケると恥ずかしいから、その記憶だけが残るのだろうか。 今までで一番ハデな…

コケコケ

タイトルは、別にニワトリと化したわけではない。 子供の頃からやたらとよくコケる。 ガキの時分は、しょっちゅう、ドブにはまっていた。 階段を昇れば最初の段に蹴つまづくし、下りれば最後にぐにゅっと床にのめり込む(まだ階段が続いていると勘違いするの…

コケ

ところが、この二枚目意識が粉々に打ち砕かれるときがあるのだ。 コケたときである。 先日、雨が降っているなか、住宅街を歩いていた。もちろん、何となく二枚目としてである。 道のへりに、排水路によく載っている赤錆びた鉄板が、斜めになっていた。雨に濡…

二枚目意識

たいていの男は、心のどこかに二枚目意識を持っているのではないか、と思う。 あ、おれだけですか。いやいや、そんなことはないでしょう。 この二枚目意識というのは、説明がなかなか難しい。 自分をヒーローと思うのとは違う。それはたいがい、ナルシストか…

一生懸命

不思議なことに、「命懸け」ではなく、「一生懸命」をつけると、世界はまた違った姿を見せるのである。 元々は、「一生懸命」ではなく、「一所懸命」。昔の武士が自分(の家)の領地を守ることに命を懸けたことから出た言葉だ。 「一生懸命」はたぶん、誤用…

命懸け

今の小咄もそうだが、言葉の重宝なところは大して手数のかからないところである。 何しろ、冒険映画ならセットを用意して、スタッフにあれこれ指示して、テスト、本番、とえらい手数のかかるところを、言葉なら「黙って泳ぎなさい」の一言で済むのだ。 経済…

思いもよらない世界

人間というのは、目の前に思いもよらない世界が広がると、面白く感じるらしい。 例えば、散歩していて、普段は曲がらない角を曲がる。どんどんわけのわからないほうへ行ってしまい、「あれれ、どこへ行っちゃうのかな」と少々、不安に思う。 そうして、狭い…