2016-01-01から1年間の記事一覧

神仏を信じること

おれは若い頃、理屈っぽい嫌な野郎で、「神なんかいるわけがない」などとうそぶいていた。 しかし、この年になると(先日、生誕半世紀を迎えた)、人間の考え(正しくはおれの考え)には限界があるとわかってくるし、またいささかこずるく立ち回ることもでき…

虫歯を治す薬

先日、人と話していて、なかなか面白い設問に至った。 もしあなた(これをお読みのあなた)が虫歯を一発で治す薬と歯周病を一発で治す薬を発明したら、発表すべきだろうか? 発表すべきでないだろうか? もう少し細かく設定すると、それぞれ虫歯菌と歯周病菌…

人類普遍の原理?

若い頃というのは一般に社会経験が少なく、おまけに血気盛んであるからして、理屈に走りがちなところがある。老けてくると、なんやかやと体験してくるし、心身にいろいろとガタがくるせいもあって、経験というもののありがたみがわかってくる。 いきなりなん…

イチョウの物語

今年の秋は暖かいせいか、あるいは毎年こんなものだったか、東京ではようやくイチョウが黄色く染まり、散り始めている。 イチョウというのはなかなか数奇な運命をたどってきた植物であるらしい。以下はWikipediaの記述をただまとめただけだが、よろしければ…

晴れ男(女)と雨男(女)

閃くというほどではないが、ふと何かに思い当たることがある。 昨日も自転車で山手通りを走っていて、ふと「晴れ男というのは、あれは要するにポジティブ思考ではないか」と思い当たった。 晴れ男(あるいは晴れ女。煩雑なので、以下、晴れ男で)というのは…

運動と労働

自転車で荒川の貯水池(彩湖)に行ってきた。 行くのは初めてである。彩湖のまわりはなかなかきれいな公園として整備されてあった。おれにとっては運悪く、公園の周回路はマラソン大会のため、通行禁止になっていた。仕方がないので、荒川の土手を走った。 …

蠟小平と貧しさ

タイトルの「とうしょうへい」の「とう」の字が変な字に化けているかもしれない。書体のコードの問題らしい。書きたいのは左が「登」で右がこざとへんである。 さて、前回に引き続き、蠟小平の話。 中国が文化大革命(「階級闘争」の名のもとの、広範な社会…

蠟小平

エズラ・F・ヴォーゲルの「蠟小平」を読んだ。現代中国の父 トウ小平(上)作者: エズラ・F・ヴォーゲル,益尾知佐子,杉本孝出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2013/09/03メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る現代中国の父 トウ小平(下…

私と憲法

タイトルを書いたら、昔の社会党の作文みたいで笑ってしまった。 おれは1966年生まれだから、現行憲法の施行(1947年)から約20年後に生まれたことになる。 改憲論者のうち少なからぬ人が「現行憲法はアメリカから押し付けられたものだから、自主憲法を制定…

転がる人

毎年、日本ではノーベル文学賞を村上春樹が受賞するとかしないとか話題になる。 ノーベル文学賞がどういう質(量の話ではない)のもので、国際的に(つまり、スウェーデン人やアメリカ人やフランス人やイギリス人やイラン人やアルゼンチン人やインドネシア人…

意識高いけ?

「意識高い系」という言葉があって、幸か不幸かおれはそう呼ばれたことがないが、いやらしい語感である。 「いやー、あなたは意識が高い!」と言われれば、おそらくは褒め言葉だ。しかし、「いやー、あなたは意識が高い系!」と言われたら、不穏な空気が流れ…

祭り

相変わらず土日は雨が降らない限り自転車でそこらへんを走り回っている。 素朴な感想で恐縮だが(おれは素朴なのだ)、いつも感心するのは自動車の多さである。これだけ自動車が大量に走り回って、よく石油がなくならないものだ、と思う。 いや、自動車に限…

破壊

先週の休み、家の前の通りは電柱づたいに提灯が列となっていた。秋祭りであるらしい。 おれは「戦火の馬」というDVDを借りて、家に帰った。週末に酒を飲みながら家で映画を見るのが習慣である。 「戦火の馬」は第一次世界大戦の軍馬の運命を扱ったスピルバー…

駐輪禁止

おれの住んでいる町には商店街があって、なかなか流行っている。人通りが多い。 商店街と直角に交わる通りは駐輪禁止なのだが、構わずに多くの自転車がとまっている。駐輪場もないことはないのだが、ちょっと不便なところにあり、ふらっと来る人たちは商店街…

さんまと志ん生

先週に続いて、明石家さんまについて思うことを書く。 さんまは、驚異的な場回しのよさ、どんな相手でも笑いに持っていくトーク術で知られている。あのテクニックをさんまはどういうふうに身につけたのだろうか。 番組の中で、特にお笑い芸人を相手にすると…

明石家さんまと落語家の了見

明石家さんまは落語家の了見を持っていると思うのである。 のっけからいきなりだが、ここはおれが思うことをおれがほざき散らす場であるからして、お許しいただきたい。 ここで言う落語家の了見というのはおれが勝手にそう思っている了見である。世の中や人…

進化の速度

生物の進化と、人間の科学技術、モノ、サービス、生活の進化について、もう少し書いてみる。 この数百年の間の、科学技術、モノ、サービス、生活様式の進化の速度は驚異的だとおれは思う。人類の文明の歴史をどこから数え始めればいいのかわからないが、仮に…

ふたつの進化

このところ、カンブリア紀についての本を続けて読んでいる。 カンブリア紀は5億4200万年前から4億8800万年前までの約5千万年間のことで、この期間に動物は爆発的な進化を遂げたとされる。その前のエディアカラ紀には海綿かサンゴのような自力ではほとんど動…

千年の愉楽

前から気になっていた映画「千年の愉楽」をDVDで見た。最近見た中では出色だった。 「千年の愉楽」は中上健次の連作小説で、名が高い。おれが読んだのは二十代の頃だから、もはや筋は覚えていないが、読み終わった後の怖いような、感銘を受けるような不思議…

老いと霊長類

昨日、電車の席に座って、ぼんやりと向かいの席に並ぶ人々を見ていて、ふと思った。「人間は年をとると、だんだん顔がサル化していくなー」。 サル化というか、霊長類化(ただし、人類を除く。以下、同じ)と言ってもよい。これはほぼ間違いなくそうである。…

心霊GO お地蔵GO

ポケモンGOが一種、社会現象になっている。もしかしたら、昭和三十年代の(おれは実体験してないけど)ダッコちゃんブーム以来の騒ぎなんではないか。知らんけど。 それでまあ、例によって無駄なことを考えるのが習い性であるおれであるからして、「心霊GO」…

貞子のYouTube

貞子というのはご存知、ホラー小説/映画の「リング」に出てくる魔物的女性である。映画版では、「呪いのビデオ」を写したテレビ画面から長い髪を前に垂らして出てくる衝撃的シーンが有名だ。 ふと思ったのだが、「呪いのビデオ」をYouTubeにあげるとどうな…

のきもち

「いぬのきもち」「ねこのきもち」というベネッセの雑誌&ウェブサイトがあって、うまい名前をつけたものだなあ、と思う。愛犬家、愛猫家にとってはとても気を惹かれるタイトルであろう(最近のは定期購読のみとなっているらしく、古い表紙で申し訳ない↓)。…

剥製

以前にも書いたことがあるが、上野の東京科学博物館には南極探検隊の樺太犬タロと忠犬ハチ公の剥製がある。今はどういうふうに展示しているのか知らないが、何年か前に行ったときは二頭並べて置いてあった。 タロとハチ公は互いに特に関係ない。共通項を探せ…

東アジアの大都市

水、木、金と台湾の台北に行ってきた。 古い低層のビルと、超近代的な高層ビルが並び建っていて、その中間が比較的少ない印象である。経済成長のスピードを反映しているのだろうか。 ベーシックな街の雰囲気や人のたたずまいは子供の頃によく行った大阪に似…

ロボット

熱心に追いかけているわけではないが、ロボットに関する記事やニュース、動画があると何となく見たくなる。未来とかイノベーションに興味があるというより、ロボットを通してそれを作ったり評価したりする人たちの考え方や物事の捉え方が見えてくるのが面白…

笑う門には福来たる

「笑う門には福来たる」というが、あれはどういうロジックなんだろうか。 笑いにもいろいろあって、たとえば、フフッ、と口の端で皮肉に笑う。ああいうのはあんまり福が来そうにない。というか、福が来ない人たちがねじくれて、そういう笑いを浮かべやすくな…

未来

重力の強い言葉というのがあって、たとえば、「未来」なんていうのもそのひとつらしい。 一般的には、単語ひとつで「未来」と言われるとポジティブな印象があるようだ。暗い未来像というのもあるけれども、ぽんと「未来」というとおそらく多くの人がよいイメ…

ゲバラとカストロ

時々、チェ・ゲバラのTシャツを着ている人を見かけることがある。 確かに、チェ・ゲバラはカッコいい。アルゼンチンに生まれ、医学を学びながら南米をオートバイで走破し、生まれ育ちとは全然関係のないキューバ革命をカストロらとともに成功させ、アフリカ…

父よあなたは偉かった。母よあなたは

「〇〇の父」と呼ばれる人々がいる。たいがいはある分野を切り拓いた人々である。 たとえば、アレクサンダー・グラハム・ベルは「電話の父」と呼ばれる。 電話の父 アレクサンダー・グラハム・ベル 立派である。いかにも偉人というふうだ。 邪鬼であるおれは…