2013-01-01から1年間の記事一覧

大と小

相変わらず突然の話題で恐縮だが、ジャンルあるいはカテゴリーによって、名前に「大」をつけるのを好むケースと、「小」をつけるのを好むケースがあるようだ。 わかりやすい例で言うと相撲取りで、例えば、豊ノ島大樹、宝富士大輔、翔天狼大士、舛ノ山大晴、…

色が消えた

yagianが少し前のブログに「現代日本の大衆文化の大きな潮流は『オタク』と『ヨサコイ』に代表されると思う」と書いていた(id:yagian:20131203:1386014176)。 「オタク」は、かつては大人へ成熟するなかで関心を失うべきもの、とされていたモノやコトを積…

東京オリンピック開会式への懸念

高木(id:yagian)がFacebookにこんなことを書いていた。 ロンドンオリンピックの開会式/閉会式はかっこよかったけど、東京オリンピックでは、秋元康とヒロの仕切りで、アイドルとExileとくまモンがヨサコイを乱舞してそう… 同感である。本当にそんな具合に…

事情を飲む込むとき

子どもがものを覚えるというのは不思議なものだなぁ、と思う。言葉を覚える、すなわち、まわりが何やら口をもぐもぐさせて発する音が意味と結びつくんだ、と理解するのも不思議だし、そもそも意味というものがこの世にあるのだと理解するのが不思議だ。 ある…

類型化

先週、雑な思考について書いた。民衆とか、日本人、右翼左翼というくくり方で語るのは雑に過ぎるんじゃないかという話だ。 で、なぜにそんな雑なくくり方での議論がはびこるかについてつらつら考えてみた。そうして、類型化ということに思い至った。 類型化…

雑な思考

おれは頭が粗雑だが、それでも「そりゃあまりに雑じゃない?」と思うような議論に出くわすことがよくある。思いつくままにあげてみよう。「民衆」 庶民、大衆なんかも同じだ。そんな雑にくくって、なにか身のある話ができるのだろうか。「日本人」 まず、日…

戦国ポイントカード

最近、といってもここ5年から10年くらいのスパンの話だと思うが、「ポイントがたまる」というサービスがやたらと増えたように思う。店のレジに行くと、かなりの割合で「ポイントカードのご利用はございますか?」と聞かれる。そんなもの何枚も持ち歩いたり、…

競争と風物詩

おれは実家の宗旨が浄土真宗だし、個人的にはお不動様を信仰しているから、クリスマスを祝うことはない。しかし、あの冬の、特に夜の雰囲気は好きである。 だが、最近は街のクリスマスの飾り付けが早すぎるんじゃないかと思う。六本木ヒルズ界隈のけやき坂は…

民衆嫌い

まあ、「民衆嫌い」とまで言うと言い過ぎなのだけど、「民衆」という言葉を見るたび、聞くたびにおれは抵抗感を覚える。 高橋敏著「国定忠次の時代 読み書きと剣術」を読んでいて、「民衆」の連発に何だか嫌になってしまった。例えば、こういう書き方。 皮肉…

志ん朝と三平さんとプロフェッショナルとマニア

「プロ」「プロフェッショナル」という言葉には独特の磁力と求心力があるようで、少なくとも日本語の言語感覚世界では高い位置に置かれている。「まさにプロの仕事だ」「あいつはプロフェッショナルだね」という言い方はたいがい褒め言葉であるし、「プロフ…

過去の近さ

前回に続いて、過去というのは思っている以上に実は近いんではないかという話。 たとえば、平均して25歳で子供が生まれる、つまり次の世代が生まれるとする。そうすると、25歳の人のおじいさん(おばあさん)は75年前に生まれた計算になる。今年は2013年だか…

歴史をさかのぼる

おれはあんまり最近の音楽を知らなくて、もっぱら80年代以前の曲を聴いている。ロックでは70年代あたりが中心だから、80年代の音楽なんて、おれにとっては“割と新しい”感じである。だから、二十代前半の人と話をしていて、ふと“あれ、こいつらにとってポリス…

許されざる者

特に書くことも思い当たらないので、少し前に見た映画の話。李相日監督、渡辺謙主演の「許されざる者」。→ 映画「許されざる者」公式サイト クリント・イーストウッド監督の同名作のリメイクである。時間つぶしのために映画館であまり期待せずに見たのだが、…

日本美術と西洋美術史

田中英道「日本美術全史〜世界から見た名作の系譜」を読んだ。日本美術全史 世界から見た名作の系譜 (講談社学術文庫)作者: 田中英道出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/04/11メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見る 西洋美術史家…

美食家(続)

前回、美食家というのは何なのだ、そもそも美食って何なのだ、という話を書いた。 で、つらつら考えるに、美食が、単にうまいものを食って喜ぶ、ということではないのは、どうも芸術性ということに関係ありそうだ、と思えてきた。 素材を吟味し、手間ひまを…

美食家

どうもよくわからない概念に「美食家」というのがある。 文字通りにとって「うまい食事を好む人」かというと、それだけではないようだ。世の大半の人はおそらく「うまい食事を好む人」だが、では世の大半の人が「美食家」かというとそうではなかろう。 世に…

機械文明のありがたみを知る

昨日、仕事の関係で千葉の成田に稲刈りに行ってきた。 機械ではなく、鎌による手苅りである。仕事上のちょっとした趣旨から手狩りの大変さを知る目的があった。農場の方も「四十年ぶりですよ」とおっしゃっていた。 やってみると大変である。まず田んぼの泥…

伝統のつながり方

前のブログで、鼓や三味線で盛り上げる萬歳(漫才ではない)の形式はボーイズ物、その最若手(もう四十代だけど)であるポカスカジャンに受け継がれているのではないか、というようなことを書いた。 そういう芸の伝統のつながりというのは興味深いもので、広…

萬歳の後継

「桂吉坊がきく藝」の喜味こいし師匠との対談を読んでいて、ふと思い当たったことがあった。桂吉坊がきく 藝 (ちくま文庫)作者: 桂吉坊出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/06/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 2011年に亡くなった喜味…

金沢と富山

月曜から木曜まで富山の実家に帰っていた。 月曜の夕方に富山に着き、火曜は持ち帰った仕事を泣きながらして、夕方自転車でふらりと田舎のほうへ出かけた。水曜は金沢を歩き、木曜は午前中やはり自転車で田舎のほうへ出かけて、午後に東京に戻った。 金沢に…

北大路魯山人

白崎秀雄「北大路魯山人」を読んだ。最近では出色の読み物であった(1985年の本だけど)。北大路魯山人〈上〉 (ちくま文庫)作者: 白崎秀雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る北大路魯山人〈下〉 (ち…

敷衍

虎の威を借る、ということがよく行われる。典型的なのが例の「視聴者を馬鹿にしているとしか思えない」という類いの言い回しだろう。世論調査したわけでもなし、馬鹿にされていると感じたのはあくまで自分なのに視聴者という虎の威を借りてしまう。他には「…

自民党のキャッチコピー

安倍さんが党首になってから自民党はポスターなどで「日本を、取り戻す。」というコピーを使っていた。日本の何を取り戻すんだか書いてなくて、経済を取り戻すのかもしれないし、古き良き日本(本当にそんなものあったのかは怪しいが)を取り戻すのかもしれ…

不自然な合唱

市川崑監督の「ビルマの竪琴」をDVDで見た。終戦直後の日本軍一部隊を取り上げているのだが、これがやたらときれいな声で合唱して不自然なのである。一応、部隊長が音楽学校出身ということになっているのだが、「ワシら正しい発声法で美しい声を響かせており…

天然と合成

一般に飲食物では合成ナンタラという成分は好まれないようである。「合成保存料ゼロ」なんていうのがそれだけでちょっとした売り文句になったりする。逆に天然ナンタラというのは正体が不明であっても好感を持って迎えられるところがある。 まあ、合成ナンタ…

よくわからんデモ

先日、銀座を歩いていたら、デモに出くわした。 のぼりを見ると、関東の土建系の組合のデモであるらしい。クルマが先導して、その後を組合員(と言っても、結構なじいさん、ばあさんも加わっていたから、家族総出で出てきている人たちもいるのかもしれない)…

高慢塔

自転車でよく通る大通り沿いに大型マンションが建設中で、工事用の囲いにはマンション名が「プラウドタワー○○」と書いてある(○○は地名)。 毎度ながらこの手の名前は英語として大丈夫なのかと思う。なんせ「proud tower」である。おそらく、「誇るに足るタ…

エロ少年の心

男性向けの大衆雑誌では、「珍」という文字が来れば「チン」、「漫」や「満」という文字が来れば「マン」と書くのが、ほとんど条件反射、自動書記的になっている。「○○○○(男性の名前)、東南アジア・チン道中」とか、「××××(女性の名前)、社長マン遊記」…

白井権八 視線の移動

立川談志の「白井権八」に素晴らしいフレーズがある。 白井権八は因州鳥取の侍で、江戸での百三十人斬りで知られ(モデルは実在の侍で平井権八)、たいがいは美青年ということになっている(おれと同じだ)。歌舞伎の「鈴ヶ森」が有名だが、談志は講釈ネタを…

日本共産党の綱領を読む

郵便受けに時たま放り込んである共産党のチラシを読むのがおれは結構好きだ。我こそは正義、民衆の味方ナリと言いたげな書きっぷりと、その割にはツッコミどころ満載の脇の甘さがあり、読むと、できそうにもないよい子ちゃん発言を学級会で繰り返す優等生を…