よくわからんデモ

 先日、銀座を歩いていたら、デモに出くわした。
 のぼりを見ると、関東の土建系の組合のデモであるらしい。クルマが先導して、その後を組合員(と言っても、結構なじいさん、ばあさんも加わっていたから、家族総出で出てきている人たちもいるのかもしれない)がだらだら歩くスタイルである。
 クルマの上のスピーカーから女性の声でシュプレヒコールが響く。後に続く人たちがそれを繰り返す。
アスベスト被害を救済しろー!」
「救済しろー!」
 なるほど、そういう問題が土建方面にはあるのだな、と思った。まあ、ここまではよかった。しかし、その後の主張がなんだかなー、なのである。
「消費税を上げるなー!」(上げるなー!)
「我々に仕事をよこせー!」(よこせー!)
「賃金を上げろー!」(上げろー!)
「景気をよくしろー!」(よくしろー!)
 税金を上げるな、だけど税金は我々によこせ、という。あのねぇ。余計な公共事業なんぞやるから、税率がアップしてしまうんじゃないのかね。
 そうして、のたまった。
原発をなくせー!」(なくせー!)
 土建系の組合と何の関係があるのだろうか。
 まあ、デモに乗じて影響力を駆使しての党派的主張ということなんだろう。聞いていてシラケた。あえて言えば、集産主義的な志向を持つ組織というのは中央組織(クルマに乗ったスピーカー女達およびその元締めのことね)が恣意的に旗を振り、その他大勢に(それぞれの個人的意見とは関係なく)唱和させることになる。そういう構造がわかりやすく表れていたとは言える。
 見ると、クルマの後についている人々も、声をあげたり、あげなかったり。全体にダラダラしていて、言われたからやっております、というふうではあった。