2011-01-01から1年間の記事一覧

鳥たちの沈黙

土曜日の夜に自転車でケンタッキーフライドチキンの前を通ったら、店の外まで列ができていた。そのときふと思ったのだが、この数日に向けて世界中で何億のニワトリや七面鳥がつぶされたのだろうか。鳥の死因として「クリスマス」は相当に高位なんではないか…

自転車は人を馬鹿にする

「自転車は人を馬鹿にする」と言ったって、もちろん、自転車が人間に向かって「バーカ!」などと見下した態度をとるわけではない。 相変わらずの自転車生活で、前にも書いたが、ひどい自転車乗りが多い。 やたらと見かけるのが信号無視で、赤でもクルマが来…

「と」問題

宮沢章夫が、エッセイのタイトルで3つの言葉を「と」で結ぶと何となくいい感じになる、と書いていて、こんな例を挙げている。 旅と、荷物と、温泉と なるほど、何かいい感じである。荷物を持って温泉に旅行した、というだけのことしか言っていないのだが。 …

講談と落語の違い

少し前に亡くなった立川談志の落語を音楽プレーヤーに入れて時々聞く。 落語ももちろんいいのだが、談志のやる講談がまたいいのである。「ひとり会」として出ているCDに何本か収められており、「慶安太平記」「ねずみ小僧」「小猿七之助」あたりがおれのおす…

ずっと謝っている人

脳の回路が変なふうにつながっているのか、急に妙なことを思い出し、妙なことを思って、可笑しくなることがある。 京都の京阪三条の近くに高山彦九郎の大きな銅像がある。どんなエピソードに基づくのかは忘れたが、高山彦九郎の銅像は土下座している。銅像だ…

自転車の横断帯

相変わらずの自転車生活である。 自転車は車道を走れ、というお達しが出て、その通りにしているのだが、どうもよくわからないことがある。以前に書いたY字路右折の問題もいまだ解決していないが、他にも自転車の横断帯についての疑問がある。 横断歩道のわき…

国民的歌

前回書いた南アの歌「ショショローザ」は、クリント・イーストウッド監督の「インヴィクタス」でも効果的に使われていた。 マンデラ大統領の下、白人と黒人の融和という使命を課せられた南アフリカのラグビー代表がワールドカップ決勝に進出する。ワールドカ…

ショショローザ、合唱

南アフリカの歌「ショショローザ」についてネット上でつらつらと見ていたら、いい感じのビデオを発見した。南アフリカの中学校の合唱らしい。「ショショローザ」は元々は労働歌だそうだ。ワールドカップなどの大きなスポーツイベントで大合唱になることもあ…

音声読み上げプロジェクト

宮沢章夫の「アップルの人」を読んでいたら、ネットショップの文面について書いたこんな文章があって、笑った。 ことによると、それはひどいダミ声なのかもしれない。がらがらの声で語りかけられる。 「ご相談はこちらから」 おまえは競馬の予想屋か。 そう…

自転車車道走行問題について その2

自転車が車道を走ることについて、前回の続き。 自転車は原則として車道の左端を走ることになっているのだが、判断に困ることも多い。ひとつは左折用レーンがあるとき、どうするかだ。 「自転車は車道の左端」という原則を守れば、Aの位置に行く。直進したい…

自転車車道走行問題について

自転車は原則車道を走るように、警察が取り締まりを強化するという。そもそも法律上、自転車は車道を走ることになっており、歩道を走るのは本来、例外措置だから、法律上の原則に戻すということらしい。 しかし、これ、よほど準備しないと、自転車がばんばか…

宣言祭り

広告方面でよく見かける言い回しに「〜宣言」と「〜祭り」というのがある。「3割値引き宣言」とか「オージービーフ祭り」とか、とりあえず付けておけばハレの感じがするのだろう。いささか安易な手法ではあるが、世の中にこれだけはびこっていることは、コピ…

欧文と洗練

自分のまわりで欧文がどのくらい使われているか、一度、意識してご覧になってみていただきたい。ちょっと驚くぐらいの欧文が使われているだろう(お寺の本堂で読経をしながらこれを読んだりしている方はちょっと別かもしれないが)。 でもって、次に、それが…

観念論のグルグル

観念論という言葉があって、まあ、要するに頭と口先で論理(悪く言えばリクツ)を組み立てて、ああだこうだと述べ立てることを言う。この世にはかつてドイツ観念主義なる聞くからに恐ろしげな主義もあったそうなのだけれども(何しろ、ドイツであるうえに観…

音階の不思議

今の時代に日本で生まれ育った人はたいていそうだと思うが、西洋音楽系統のドレミファソラシドという音階は非常になじみやすい。聞いていると、ある種の快さを覚えやすいだろうと思う。日本の癖の少ないポップスのメロディは多くがドレミファソラシドの組み…

ガジェット好きのカリスマ

スティーブ・ジョブスが亡くなった反応というのは随分大きくて、ちょっと驚くほどである。 おれのまわりには、世代のせいもあるが、Macintoshが出た頃にコーフンした人々が結構いて、この人達はかなりの高確率でiPod、iPhone、iPadにもコーフンしたから、ジ…

ルーツでないところの貢献

いつだったか、どこでだったか、「自分のところがルーツでないものについては自由な発想ができるので、面白いものができやすいんじゃないか」というようなことを書いたことがある。 寿司屋がいい例で、日本では寿司屋というとある程度「かくあるべし」みたい…

抽象と具象

映画「ラフマニノフ」を見た。密かに期待していたほど深みのある映画ではなかったが、退屈せずに楽しめた。ラフマニノフ ある愛の調べ [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2009/05/29メディア: DVD購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ…

来世で何に生まれるか

輪廻転生方面というのは考え出すとなかなかに興味深い。 おれは来世、生まれ変わるならイソギンチャクがいいと考えていた。何しろ海底でゆらゆら揺れていたら餌のほうから勝手にやってくるんだから楽チンである。見た目もなかなかに優雅だ。一応は食用にする…

ロック魂

ロック魂、なんていうと、今では洒落や冗談のニュアンスなしではなかなか語れなさそうだけれども、いやいやそんなことはない。このムービーをご覧いただきたい。平民新聞さんのところからである。 いやはや凄い。おれは凄いものを見ると、笑ってしまう癖があ…

そこがいいんじゃない!

天才バカボンのバカボン・パパは母親の胎内から出たとき、七歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指して「これでいいのだ!」と世界を全肯定したそうである――というのはおれがこしらえた作り話なのだが、ともあれ、「これでいいのだ!」は物事を肯定する最強…

フラ

落語方面の言葉に「フラ」というのがある。その人独特のたくまざるおかしみ、笑いを誘う雰囲気、みたいな意味で、「フラがある」なんていうふうに言う。 例えば、志ん朝がいい例で、あのポワーッとした感じというのは真似ようとしたって真似られるものではな…

年齢と小津安二郎

小津安二郎の「小早川家の秋」を見た。 小津安二郎の映画はどれも、世の映画全体の平均からすれば、ひどくショッキングな事件が起きるわけではない。人が殺されることもないし、地震で都市が崩壊することも、竜巻が荒れ狂うことも、超能力少年が未来を予知す…

おれと単純化と人間集団の性格について

物事を単純化して考えることにはいろいろと弊害があって、一番の害はきちんと物事のありようや他の要因を捉えられなくなることだと思う。そうして間違った結論や、見当外れな方策を導き出してしまうのだ。 例えば、おれが女の子から「稲本さんて足が短ーい」…

新しいという麻薬

戦前の浪花節の人気というのは今からは想像がつかないほど凄いものだったらしい。浪曲師は休む間もなく会場をまわって随分と儲かったが、あまりの忙しさのせいかたいがいは壮年で亡くなったそうだ。あまりに儲かるので、ヤクザが人気の浪曲師を囲い込み、そ…

英語と洗練

デザイナーと仕事をすることが多い。彼らは、機能上意味がなくとも――つまり、英語でコミュニケーションする必要がなくとも――しばしば言葉を英語で表記したがる。たとえば、バッチい例で申し訳ないが、作っているもののどこかに、 Shit などとあしらうのであ…

見下す人

近所に中国風の麺類を食べさせる店がある。店の作りは中国の食堂を模していて、出てくる麺はラーメンとは少し違う太い麺である。味も大ざっぱといえば大ざっぱだし、鷹揚と言えば鷹揚な中国風である。 先日その店に行った。店はそこそこ賑わっていた。接客の…

ステージと勝負

ミュージシャンや芸人がステージにあがるときは、どこか「勝負!」という感覚があるんじゃないかと思う。いやまあ、最初から客を手の内にあるかのように捉えている人だっているんだろうけど、基本的には客の反応はやってみないとわからず、先行きが読めない…

新しもの好き

どちらかというと新しいものに対して興味のあるほうではなく、冷めた目で見ているほうだと思う。 携帯電話が普及しだしてからもしばらく持たなかったし、今もスマートホンをあまりほしいとは思わない。携帯電話のメールすら送られてきたら返信するくらいで、…

天然素材と人工物

前回、「天然素材、天然成分とアピールする商品が多いけど、だから何なんだ」というようなことを書いた。天然だから体にやさしいと言えるわけではないし、人工的化学合成だから危険というわけでもない(NaClは天然でも化学合成でもNaClだろう。「塩」となる…