2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

宗達と遊び

少し前に、上野の東京国立博物館に「対決 巨匠たちの日本美術」展を見にいった。 日本美術の、国宝級の画家、彫刻師、陶芸家を、「対決」のテーマのもと2人一組でお目にかける、というもので、企画自体にはちょっと「?」のところもあったけれども、いろいろ…

フランケンシュタインの怪物という有名なモンスターがいる。 巨体に、血色の悪いつぎはぎだらけの顔を描かれることが多い。 時折、誤解している人がいるが、あれはあくまで「フランケンシュタインの怪物」であって、フランケンシュタインは怪物を作った博士…

思い込み

物事をずっと違ったふうに思い込んでいることがあって、昨日、ひとつ判明した。 街なかやそこらへんをスッパダカで走り回るストリーキングという行為がある。わたしは残念ながらあまり文明化していないので、やったことがない。 確か、「国家の品格」の藤原…

龍の口、獅子の口

正確に何と呼ぶのか知らないが、人工的な池などへの水の噴き出し口が、顔の彫刻になっていることがある。 中国なら龍、西洋ならライオンの顔が代表的なように思う。 シンガポールのマーライオンは、東西文明の合流地点なのか、両者合体したイメージだ。 マー…

活弁

昔の話を読んでいて、たまに、へええ、と思う話に出くわすことがある。 またしても殿山泰司「三文役者あなあきい伝」からの引用になってしまい、申し訳ないのだが(ミナサンに申し訳ないのではなく、殿山のオッチャンに申し訳ないのだ)、無声映画時代の活弁…

殿山菌・続

依然として殿山菌に冒されていて、ちょっと油断すると、ウーン!! とか、クヤシイ!! とか飛び出す始末だ。ぼくノーテンファイラー!! ああヨヨと涙が出る。 殿山菌の保菌者はこの手の殿山フレーズをついつい使いたくなるのだが、しかし、使うと、どこか不自然…

殿山菌

三文役者あなあきい伝〈PART1〉 (ちくま文庫)作者: 殿山泰司出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1995/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る三文役者あなあきい伝〈PART2〉 (ちくま文庫)作者: 殿山泰司出版社/メーカー:…

歴史と講談

NHKが不定期に「歴史秘話ヒストリア」という番組をやっていて、キャッチフレーズは「歴史を作るのは1%の大事件と、99%の秘話」だそうである。 違うだろう。 惹句(そのココロは1%の嘘と、99%の誇張だ)とはいえ、いい加減な態度だと思う。いい加減なわた…

な人

「問題な人」という類の言い回しがあって、国語教科書的には問題な表現なんだろうと思う。 なぜ問題かというと、「状態を表さない名詞+な+(名詞)」という形だからで、これが「形容動詞の連体形+(名詞)」(例えば、「愚かな人」)なら、全然問題ない。…

怨歌劇場

怨歌劇場 (宙コミック文庫 漢文庫シリーズ)作者: 野坂昭如,滝田ゆう出版社/メーカー: 宙出版発売日: 2007/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (10件) を見る またしても滝田ゆう。 この本は傑作、あるいは名作だと思う。 野坂昭…

冷笑新聞

例によって唐突な話題で申し訳ないが、新聞記事の見出しに「(笑)」をつけるだけで、なぜか冷笑的になってしまうようである。 試しに、昨日、今日の新聞でやってみよう。 自衛隊のアフガニスタン派遣についての記事。 ヤーイ、ザマーミロ、という姿勢が濃厚…

電車で見かけたおばさん

わたしは書店で本を買ったとき、カバーをかけてもらうことがある。 別に強いて、というわけではなく、レジに列ができておらず、相手の作業がさっさとカバーかけに進んでいたら、「断るほどでもないな」と、そのまま待っている。ああ、流れゆく私。 まあ、カ…

滝田ゆうの町の絵

このところ、ちょっと滝田ゆうづいていて、昔読んだものだけでなく、未読作品もインターネットで取り寄せて読んでいる。 Web2.0(古いか)とかロングテールとかいう話にはあまり興味が湧かないが、滝田ゆうのような、普通の書店にはあまり置いてない本を簡単…

賢弟の将棋

昨晩、NHKの「プロフェッショナル」という番組で、森内俊之と羽生善治の名人戦を取り上げていた。 わたしの顔は、羽生善治に似ていると言われることがある。鏡を見ると、自分でも似ている、と思う。そうして、勝手に親近感を抱いている。 関係ないが、わたし…

当て字の文化

知らなかったのだが、「くだびれる」という(わたしの人生をよく表す)言葉は「草臥れる」と書くのだそうだ。 おそらくは当て字だろう。くたびれて、くたびれて、コリャどもならんと草の上に寝転がるのだろうか。きれいなような、しんどいような表現である。…

滝田美人の研究

漫画家・滝田ゆう(1932 - 1990)描くところの滝田美人である(わたしが勝手にそう呼んでいるだけだが)。 パソコンで横着に真似ただけなので、オリジナルのペンの線の味わいは全然表現できないが、一本線を引くたびに、“色っぽいなー”と悦楽を感じた。白状…

さァ事だ

人間、危機というのはいつ訪れるかわからない。 「滝田ゆう落語劇場」(ちくま文庫)を読み返していたら、こんな川柳があった。 さァ事だ 馬の小便 渡し舟 いいなー、と思う。 このスリル。このくだらなさ。よい。 昔の渡し舟というのは、川を渡るにはそれし…

ワイドショーの惹句

わたしのワイドショーの視聴時間は年間でも分単位だと思う。 しかし、新聞のテレビ欄でワイドショー、ニュースショーの惹句を見るのは割に好きで、あの大げさな文句を見ては心中でツッコんでいる。 例の、斜に構えることで己を保つという、イヤラしい根性で…

恋、エイジング

今日の話は前にも書いた気がするのだが、わたしの記憶はすでに霧の彼方。ダブっていたら、ご勘弁いただきたい。 年をとった人に対する、「いつまでも恋していたい」とか、「恋することで自分を変えよう」という類の言い草があって、ハテどうなのか、と思う。…

エコエコうるさい

洞爺湖サミットのテーマとして環境問題がクローズアップされているせいで、にわかにエコエコうるさくなっているようだ。 最近、このページの夏休み絵日記化が進んでいるが、ご容赦いただきたい。そのココロは、逃避である。 エコ、というのは、元を正せばエ…

傍若無人

人間が小さくて申し訳ない、という話。 さる落語の会に行ったら、最初の噺の途中で、隣の席に男が来た。 三十代くらいだろうか、堅太りで顔は鈴木ヒロミツに似ている。 いきなり嫌いになる相手というのがいて、こやつがそうだった。ウマが合わないというのだ…

ジャンルと文章・続

土曜に自動車の広告やカタログの文章は、どれもよく似ているという話を書いた。セダンやスポーツタイプのクルマの宣伝文には、自分に酔うような、独特のクセがある。読むと、わたしはちょっと気恥ずかしくなる。 ジャンルは桂馬飛びするが、サッカーについて…

ジャンルと文章

昔から不思議なのだが、クルマの広告やカタログに載っているコピーというのは、驚くほどよく似ている。 SUVや低価格のクルマはちょっと違うのだが、ある程度以上の価格(200万円以上くらいか)の、セダンやスポーツタイプのクルマのコピーは、どれも同じよう…

戦うオーケストラ

たまたま見つけた、やたらと速い「剣の舞」。全員必死で、真っ赤な顔して、舞う、舞う、舞う! オーケストラの演奏を見て、「頑張れー!」、「行けえー!」と応援したくなったのは初めてです。 - 「今日の嘘八百」 嘘七百八十 結局、男が最もよく起きる音は…

電子音

我々は――と安易に一緒くたにするのもいかんか、わたしは電子音に囲まれて暮らしている。 電子レンジは「ピーピーピー」と鳴り、放っておくと30秒経って、再び「ピーピーピー」と鳴る。30秒以内にドアを開けねばばまたピーピーやられるので、慌てて駆けつける…

物忘れ

年をとると物忘れが多くなるもので 今、何か書こうと思っていたのですが、忘れてしまいました。 物忘れには2つあるように思う。 ひとつは、割に単純なもので、何かやろうとしていたこと、やらねばいけないことを忘れてしまう。 友達との約束とか、仕事とか、…

もうちょっと選手権

周知の通り、我がニッポン列島は地殻のプレート面がお互いズリズリこすりつけあっているうちによってしまったシワシワであるからして、地形が複雑である。 特に大きな島は北海道、本州、四国、九州の四島だが、地図を見ていると、「もうちょっとでつながった…

人形医者

人形浄瑠璃の、いわゆる文楽は、大阪が発祥の地で、昔は東京にもあったらしいが、大阪で続いて現在に至っている(東京にあったものは文楽と呼ばないのかもしれない)。わたしは詳しくないが、見ると、面白いなあ、と思う。 あまりいいムービーがないのだが、…