右翼の謎

会社の近くにロシア大使館があり、この時期になると、右翼の街宣車がよく押しかけてくる。 大使館近くの交差点には警察が移動式の柵を設けていて、街宣車が来ると交差点を閉鎖する。警察と右翼の間で多少の交渉というか、押し問答をした後、街宣車は去ってい…

死後の年齢問題

クリント・イーストウッド監督の「ヒアアフター」を見た。 youtu.be 見るのは、たぶん3度目だと思う。イーストウッド監督の作品にほとんどハズレはないのだが、これもいい。 イーストウッド監督の作品には運命を独力で切り開く主人公が描かれることが多い。…

英文日本語文の構造と翻訳の難しさ

今、アメリカの作家ウィリアム・フォークナーの小説を読んでいる。 最初に読んだ「八月の光」は割りに読みやすかったのだが、今読んでいる「アブサロム、アブサロム!」は読みにくい文が多く、苦戦気味である。 何が読みにくいって、一文が長く、読んでいる…

痒みの描写

おれはアトピー体質で、特に夏と冬にひどくなる。 夏は汗をかくので、どうやらその汗の中の物質が皮膚に悪い反応を起こさせるらしい。己の体内からの物質で己の皮膚がやられるとはどういうことか、と思う。冬は乾燥するので、皮膚に隙間ができ(いわゆるドラ…

動物のセクシーボイス

昨日、自転車に乗っていたら急な雨にやられた。 結構な土砂降りだったのだが、しばらくすると晴れた。途端に、アブラゼミがそこらじゅうでジィジィ鳴き始めた。いかにも夏という感じがする。 アブラゼミで鳴くのはオスだけで、あの声でメスに己の存在をアピ…

興奮した議論

安倍元首相が銃撃されて亡くなった。衝撃的ニュースである。 こういうことが起きると、興奮してあれやこれやと議論する人が大勢出てくる。そうしたい気持ちも、まあ、わかる。興奮すると何かしないでいられなくなるのだろう。 では、そうした論説なり議論な…

赤ちゃんの見る夢

赤ん坊が抱っこ紐で母親の体にぴたっとくっついて眠っている姿を見るのはいいものだ。 先日も、そんな親子とすれちがって、ふと「赤ちゃんも夢を見るのだろうか?」と思った。 赤ちゃんは一日の半分以上を寝て過ごすが、その間が無の世界なのか、夢を見てい…

イタい単純化

人間はつい単純化してしまいがちな生き物であって、おそらくは複雑なものを複雑なまま捉えるということがとても難しいからだろう。 学問方面の「理論」というのもおそらくは単純化のためである(というのまとめ方も単純化だ)。理論によって単純化することに…

ラテンアメリカ小説遍歴 その3

昨年末以来、ラテンアメリカ小説を読み続けてきた。その報告、第三弾。 TTT: トラのトリオのトラウマトロジー (セルバンテス賞コレクション) 作者:ギジェルモ・カブレラ インファンテ 現代企画室 Amazon キューバの作家、カブレラ・インファンテの、革命前の…

梅雨とは何か

東京は梅雨入りして、雨が降ったり、もやっと曇ったりする日が続いている。 梅雨といえば雨、雨といえば梅雨という印象だが、データではどうだろう。気象庁の東京のグラフを見てみた(下記)。 オレンジ色は昨年(2021年)、薄い青は平年値(年平均)である…

街の陰と陽

先週の日曜日に武蔵小金井に行った。 待ち合わせまで時間があったので、あたりをぶらついたら、南口に大型のショッピングモールがいくつも立ち並んでいて驚いた。いわゆる駅前再開発というやつである。 おれは三十年ほど前に半年ほど武蔵小金井で働いたこと…

とりあえず食ってみたヤツ

朝、パスタにバジルソースをかけたものを食べて、ふと「バジルをこうやってソースにできると気づいたヤツが昔いたんだなー」と思った。 まあ、料理方法というのはどれもそうで、最初にやってみたヤツというのがいたわけである。バジルソースについて書いたけ…

日本人野球選手のニュース

先週書いたように、最近は野球の試合を見ていない。 それでも日本人野球選手がMLBでこうだった、というニュースを見かけはする。今なら大谷翔平のニュースが多い。 あれがどうもモヤモヤとする。大谷が何回を投げて失点いくつだった、三振をいくつ奪った、打…

試合の長さ

ここ何年か、ほとんど野球の試合を見ていない。高校野球を何試合か見たかな。そのくらいである。 ヨーロッパのサッカーが面白くて、そっちが中心になったということもあるが、もうひとつには試合の長さがある。 日本のプロ野球だと2時間半くらいが普通だろう…

あの人は今

派出所の前にはよく指名手配犯の写真が貼ってある。みんな割に凡庸というか、あまり目を引かない顔をしているなかで、いつもこの人だけが気を引く。桐島聡である。 名前を知らなくても、写真で記憶している人は多いんじゃなかろうか。 なぜに印象に残るかと…

痒みの知覚

おれは体質的にアトピーで、子供の頃からカイカイカイカイと痒がって生きてきた。 アトピーのひどいときはこっちが痒くなってボリボリ、それが治まるとあっちが痒くなってボリボリ、それが治まるとそっちが痒くなってボリボリ、とまあ、きりがない。 面白い…

装置としての宗教

いきなり何だが、キリスト教の教会というのは装置としてなかなかよくできていると思うのである。 まず陰影がはっきりしていて、暗い空間に窓からだけ光がつよく差し込む。啓示とまでは言わないが、天あるいは神からの恩寵なり働きかけが光を通じて感じられる…

ラテンアメリカ小説遍歴 その2

昨年末以来、ラテンアメリカの小説を読み続けている。1月末に読んだ本を紹介したが、その後に読んだ本を簡単に紹介したい。 前回の記事はこちら。 yinamoto.hatenablog.com まずはロベルト・ボラーニョの「野生の探偵たち」。 野生の探偵たち〈上〉 (エクス…

スペクタクルな法華経

「サンスクリット原典現代語訳 法華経」を読んだ。 サンスクリット原典現代語訳 法華経(上) 作者:植木 雅俊 岩波書店 Amazon サンスクリット原典現代語訳 法華経(下) 作者:植木 雅俊 岩波書店 Amazon 「最高の経典」だという評価は聞いていて、どんなもんだ…

ラテンアメリカの作家と移住

昨年末以来、ラテンアメリカの小説をあれやこれやと読み続けている。 作家たちのプロフィールを読むと、いずれも国外移住がとても多いことに気づく。たとえば、ガルシア=マルケスの場合: コロンビア(国内を転々)→イタリア(ローマ)→フランス(パリ)→コ…

百年の孤独 神話、伝説、リアリズム

ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読んだ。 ラテンアメリカ文学を代表する小説であり、世界的大ベストセラーでもあって、「ソーセージのように売れた」んだとか。スペイン語で書かれた本のなかでは、聖書を別にすれば、最も出回った本とも聞く。 おれが…

陰謀論にとらわれる理由

陰謀論にとらわれる人というのがいて、まわりから見ると「なんで?」と思うのだが、本人はいたって真剣なようである。 たとえば、アメリカではトランプ前大統領は闇の政府(ディープ・ステート)と戦っていたのだと信じる人たちがいるし、コロナは製薬会社の…

オリンピックと偽善

東京オリンピックも北京オリンピックも全く見なかった。その前の大会も、どこだったか忘れてしまったが、見なかった。最後に見たのがどの大会の競技だったか、覚えていない。 おそらく競技を見れば面白く、興奮したのかもしれないが、オリンピックの「平和の…

物語の宗教

少し前に、マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙」を見た。 沈黙 -サイレンス-(字幕版) アンドリュー・ガーフィールド Amazon 江戸時代初期、キリスト教が禁制になった日本に命懸けで潜入する宣教師の話である。捕まった宣教師は、日本人キリシタンを拷問…

ジャマイカの存在感

世界には存在感のある国というのがあって、大国はもちろんだが、そうではないのに妙に光る国がある。 ジャマイカもそのひとつだと思う。 おれくらいの年齢の洋楽好きだと、レゲエやダンスホールが思い浮かぶ。ジミー・クリフやボブ・マーレーのようなレジェ…

「コレラの時代の愛」 エピソードを塗り込める

ガルシア=マルケスの小説「コレラの時代の愛」を読んだ。 コレラの時代の愛 作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 新潮社 Amazon 若い頃の激しい恋心を50年にわたって抱き続けた男と、抱き続けられた女、その夫の3人を中心にした物語だ。面白い。 ガルシア=…

酒と小説

ラテンアメリカの小説の旅は続いていて、今はガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」を読んでいる。 ひとつ発見したのだが、小説をその土地の酒を飲みながら読むと、ムードが出て楽しい。 きっかけは、メキシコを舞台にしたボラーニョの「野生の探偵たち…

ボラーニョ「野生の探偵たち」 人生の織物

相変わらずラテンアメリカの小説を読み続けている。ロベルト・ボラーニョの「野生の探偵たち」を読み終えた。 野生の探偵たち〈上〉 (エクス・リブリス) 作者:ロベルト ボラーニョ 白水社 Amazon 野生の探偵たち〈下〉 (エクス・リブリス) 作者:ロベルト ボ…

ラテンアメリカ小説遍歴

しばらく小説はあまり読んでいなかったのだが、年末年始にガルシア・マルケスの本を何冊か読んだら、自分のなかでラテンアメリカ小説ブームとなってしまった。 最初に、読みさしになっていたガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」を読んだ。前に読み…

平八になりたい

ひさしぶりに黒澤明監督の「七人の侍」を見た。もう何度も見ているし、ちょっと飽きているところもあるのだけれど、それでも見ると引き込まれるし、面白いと思う。 youtu.be 七人の侍の誰になりたいか、という質問をすると、その人の性格や目指しているとこ…