ジャマイカの存在感

世界には存在感のある国というのがあって、大国はもちろんだが、そうではないのに妙に光る国がある。 ジャマイカもそのひとつだと思う。 おれくらいの年齢の洋楽好きだと、レゲエやダンスホールが思い浮かぶ。ジミー・クリフやボブ・マーレーのようなレジェ…

「コレラの時代の愛」 エピソードを塗り込める

ガルシア=マルケスの小説「コレラの時代の愛」を読んだ。 コレラの時代の愛 作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 新潮社 Amazon 若い頃の激しい恋心を50年にわたって抱き続けた男と、抱き続けられた女、その夫の3人を中心にした物語だ。面白い。 ガルシア=…

酒と小説

ラテンアメリカの小説の旅は続いていて、今はガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」を読んでいる。 ひとつ発見したのだが、小説をその土地の酒を飲みながら読むと、ムードが出て楽しい。 きっかけは、メキシコを舞台にしたボラーニョの「野生の探偵たち…

ボラーニョ「野生の探偵たち」 人生の織物

相変わらずラテンアメリカの小説を読み続けている。ロベルト・ボラーニョの「野生の探偵たち」を読み終えた。 野生の探偵たち〈上〉 (エクス・リブリス) 作者:ロベルト ボラーニョ 白水社 Amazon 野生の探偵たち〈下〉 (エクス・リブリス) 作者:ロベルト ボ…

ラテンアメリカ小説遍歴

しばらく小説はあまり読んでいなかったのだが、年末年始にガルシア・マルケスの本を何冊か読んだら、自分のなかでラテンアメリカ小説ブームとなってしまった。 最初に、読みさしになっていたガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」を読んだ。前に読み…

平八になりたい

ひさしぶりに黒澤明監督の「七人の侍」を見た。もう何度も見ているし、ちょっと飽きているところもあるのだけれど、それでも見ると引き込まれるし、面白いと思う。 youtu.be 七人の侍の誰になりたいか、という質問をすると、その人の性格や目指しているとこ…

「笑う故郷」 悪夢の映画

スペイン/アルゼンチン合作映画「笑う故郷」を見た。面白すぎる。 www.amazon.co.jp この年末年始、ガルシア・マルケスの小説を読んだのをきっかけに、ラテンアメリカ文学づいている。その余波というべきか、「映画もスペイン語以外、聞きたくない!」(小…

大きな話と小さな話

アマゾンのプライムビデオで映画「スリーピング・ボイス 沈黙の叫び」を見た。2011年のスペイン映画である。 www.amazon.co.jp 検索でたまたま見つけたのだが、強烈な映画であった。 YouTubeに予告編があった。 youtu.be スペイン内戦終結直後、フランコが体…

腸内と土壌と草花

のっけから汚い話で恐縮だが、おれは排便をした後に自分のビッグベン=ウンコを見る。どのくらい出たかと色を確認する。健康状態のチェックというより、単に興味があるからだ。 おれの場合、肉の消化があまり得意ではないらしく、少し多めに肉を食べると、ビ…

街の声

日本のテレビニュース番組にはいろいろと不思議なコンテンツがあって、「街の声を聞いてみました」という例のアレもそのひとつだ。 たとえば政治方面で何かがあるとインタビューアーが街に出ていって、道ゆく人にどう思うか聞く。そんなに長い時間を割くこと…

通念と仏説

初期仏教の本を読んでると、当時のインド人にとって、輪廻転生というのは当たり前の通念、重い枷だったんだなーと思う(今でもそうなのではないかと思う)。 輪廻転生というのは生き物が死ぬと別の生き物に生まれ変わるという考え方で、人間が人間に生まれ変…

慈悲の根っこ

ここ一年半ほど、初期仏教についての本をよく読んでいる。もっぱら、昭和の泰斗、中村元の著書や訳書である。中村先生の本は平易に書かれたものが多く、おれのような無学者にもとっつきやすい。 仏教の重要な心の持ち方に慈悲がある。「悲」という漢字が入っ…

エルミタージュ幻想 奇跡のような90分ワンカット

アマゾンのPrime Videoで映画「エルミタージュ幻想」を見た。2002年のロシア映画である。 youtu.be 実にとんでもない映画だ。ペテルブルグのエルミタージュ美術館を映画監督(カメラの視点)と19世紀(?)のフランスの外交官がさまよい歩き、ホールからホー…

自意識過剰メン

我が国はこうである、ということに過敏な人がいて、自慢したり、卑下したり、なかなかに忙しい。日本は世界の人が最も〇〇する国である(〇〇のところは憧れるとか、行ってみたいとか、いろいろである。信憑性は置いておく)、と聞いては有頂天になり、日本…

国家対抗運動会

時期外れのいきなりの話題だが、おれはオリンピックがあんまり好きではない。 昔はそうでもなかったのだが、ここ10年以上、なんだかいやな感じだなー、と思うことが多くなって、あまり見なくなった。 何がいやかというといろいろあるのだが、建て前が多いと…

脳内物質、どぴゅっ

おれは脳科学方面についてはまったく無知だが、何やら脳内物質が分泌されると我々の感覚や感情が変わったり、身体の動きが変わるらしい。 ぱっと思いつく脳内物質(神経伝達物質)を挙げると、アドレナリン、エンドルフィン、ドーパミン、セロトニンといった…

サラーとマネの礼拝

サッカーのリヴァプールが好きで、よく試合を見る。リヴァプールはイングランドのプレミアリーグの強豪チームである。変幻自在でパワフルで、とにかく見ていて楽しいサッカーを見せてくれる。 リヴァプールにはモハメド(モー)・サラーとサディオ・マネとい…

飯について語る時代

少し前に実家に帰った。 おれはほとんどテレビを見ないのだが、実家に帰ったときは親に付き合ってテレビを見る。 昼間のテレビを見ると、いわゆる「食レポ」がとても多い。街の有名・無名のお店をレポーターが訪ねて、人気メニューだとか、イチオシ料理だと…

陸奥宗光の顔

相変わらずいきなりの話題で恐縮だが、幕末・明治の人でおれがこいつは異相だと思うのは大村益次郎と陸奥宗光である。 大村益次郎は明治初期の軍制を司ったことで有名だが、こんな顔だったそうである。 初めて見た人はたいがい驚くだろう。おれは最初、こう…

台所太平記の解説

先週書いたように、谷崎潤一郎の「台所太平記」を楽しく読んだ。 台所太平記 (中公文庫 た 30-58) 作者:谷崎 潤一郎 中央公論新社 Amazon ところが、最後の「解説」を読んで、なんだか楽しさに水をさされたような心持ちになった。作家の松田青子という人が書…

八十年前の鹿児島〜神戸は今の東京〜サンパウロくらいかかった

谷崎潤一郎の「台所太平記」を楽しく読んだ。 台所太平記 (中公文庫 た 30-58) 作者:谷崎 潤一郎 中央公論新社 Amazon 小説の体裁をとっているが、昭和十年から三十七年まで谷崎家(小説内では千倉家)にいたさまざまな住み込みの女中たちの思い出話である。…

対義語

ネットでよく「反日」というレッテルを見る。中国方面や朝鮮方面に少しでも宥和的なことや親和的なことを言うと、「反日だ!」と言い出す人がいて、単純すぎるというか、底の浅い感じがして、おれはあまり好きではない。では、その手の人たちが日本に宥和的…

一次元の女

「二次元の女にしか興味ない」「三次元の女には興味ない」と言う人がいて、アニメとか漫画の中の女性にしか興味を持てないということなのだろう。個人の性癖の問題であるからして、ハタからどうこういうことでもない。 それでふと思ったのだが(おれはふと思…

思考停止!

ネットでSNSやブログなんかを見ていてよく「思考停止」という言葉を見かける。 おれはあの言葉が昔からあまり好きではなくて、なんでかなー、としばらく考えていたら(思考進行したのだ)、答えが出てきた。 当たり前だが、世の中にはものすごくたくさんの事…

開会式・閉会式

今回のオリンピック、パラリンピックをおれは個人的にボイコットしているのだが、世界からの反応はいまだない。当たり前である。 ボイコットと言っても、せいぜいテレビや記事を見ないというだけなのだが、それでもSNSや目に入ってくる記事タイトルなんかで…

シェア・ハズバンド

シェア・ハウスとか、シェア・オフィスとか、シェア・サイクルとか、シェアのつくいろんなサービスが普及してきている。 それでまあ、ふと思ったのだが、一夫多妻制。あれをシェア・ハズバンドと捉えたらどう見えるか。夫をひとりの妻が個人所有するのではな…

志ん生の駄洒落

おれは今週夏休みなのだが、天気の悪い日が続いてほとんど家でぽやぽやしている。火曜日に台風一過の晴れた日があって、ちょっと風は強いが、自転車で西へと向かった。 府中の東京競馬場から府中の森公園、多摩霊園、武蔵野の森公園とまわった。行って帰って…

SNSの汚物

東京オリンピックは今日で終わりだが(だったかな)、結局、全く見なかった。オリンピックの競技以外の部分、オリンピック精神だの世界がひとつになるだのその官僚主義だの建前だのナントカの祭典だのがイヤなせいもある。また、おれは東京オリンピックは中…

天皇陛下のお買い物

生活の中でのデジタル化が進んで何が多くなったかというと、個人情報の入力である。ショッピングサイトもそうだし、SNSもそうだし、そのほかなんやかやとサービスを利用するたびにあれやこれやと書かされる。面倒くさいなー、またかよー、などと思いつつ、し…

ねたみ、やっかみ、やつあたり

SNSやこのブログなどで、妙に攻撃的になるときがある。誰かをくさしたり、いやだいやだ、と昔の絵本みたいなことを書いたりと、いや、面目ない。後で自分で読み返してイヤーな気分になる。 それでまあ、自己分析してみるに、もちろん、相手を攻撃したい気持…