アニメが苦手だ

 おれはアニメが苦手で、出くわすとげげげげげと拒否感が全開になる。

 なぜそう嫌いかというと、ひとつには嫌いのなかでも毛嫌いというやつで、嫌となると徹底して嫌になるというおれのよくない性格のせいもあるかもしれない。

 しかし一方で、嫌いの理由を分解できるとも思っている。

 まずはアニメの子供っぽさが嫌ということがある。絵が、いかにも可愛いでしょ、という流れから生まれていて、たいがいのアニメの絵は子供っぽい。演出も子供っぽい。特におれが苦手なのがロリコン系の絵で、これはアニメから生まれて、今ではイラストの分野まで侵食している。ネットの広告で顔はロリロリなのに、胸が巨大なアニメ絵に出くわすことがある。げげげげげである。パフェにアイスクリーム盛り盛りみたいなのが夢のスイーツというような子供っぽい発想がたまらなく嫌である。

 演出の大仰さも嫌である。とにかく表現、動きが大仰である。二十代の頃まではそれでも宮崎駿のアニメ映画を見ていたりしたのだが、あるとき、あの大仰な演出がたまらなく嫌になってしまった。アニメの大仰さは先に書いた子供っぽさにも通じていると思う。宮崎アニメも随分子供っぽい(意図してるのだろうが)。

 大仰といえば、声優のセリフまわしも大仰で嫌である。大仰に叫ぶ、大仰に泣く、大仰に笑う。リアルな世界ではあんなに大仰な感情表現しないだろうと思うのだが、とにかく抑揚を極端につける。特におれが苦手なのはアニメ声というか、裏声混じりの高音で極端に音程の上がり下がりをつけるタイプだ(わかるかな)。「なんとかなンですぅ〜」みたいな媚びた嫌らしいセリフまわしだ。しかし、どうやらこれが世の中では好まれるらしく、コンビニの店内放送やら、チェーン店の券売機やらにもあのアニメ声が使われるようになった。これまた、出くわすとげげげげげである。

 あのセリフまわしの大仰さ、絵の動きの大仰さは、実はアニメの絵の退屈さをカバーしているのかもしれない。実写なら、写っている画のあちこちが微妙に動く。しかし、アニメではコストの関係もあって、注目させたいところ以外は動かさない。そういう変化の少なさを、大仰な動きとセリフまわしでカバーしているのではないか。

 しかしまあ、食わず嫌いもいかんなーと思い、時々はアニメを見てみようと挑戦する。そのたびに「やっぱダメだわ」となる。少し前だが、評判のよかった「この世界の片隅で」を見てみた。しかし、開始5分でギブアップした。やっぱ、おれは毛嫌いしているのかなあ。