住みづらい世の中だぜ

 おれはアニメが嫌いで、目にすると拒否反応が出てしまう。

 十代の頃は普通に見ていたが、二十代になる頃に違和感を覚え始めた。それでも、宮崎駿の映画は見ていたのだが、あるとき、確か「千と千尋の神隠し」だったと思うが、大仰な演出に嫌気がさして、以来、見ていない。宮崎駿のアニメ(他の作家のアニメもそうだが)は子供っぽいと思う。

 アニメの何が嫌と言って、ひとつはあの大袈裟な、あざとい動きだ。とにかく大袈裟に動かす。アニメの絵そのものは取り出すと退屈なものだから、大仰な動きでカバーしているのだろうか。

 アニメの声優の誇張したセリフ回しも好きになれない。「ぬぁ〜にぃ〜っ!」「どぅぉ〜ぬぁっているんだ〜っ!」的な子音と母音を分解するような言い回しがたまらなく嫌である。

 嫌なら見なきゃいい、というのはその通りで、よほど運悪く出くわすときを別としておれはアニメを避けている。

 しかし、現実世界にもアニメは進出してきて、これが困る。たとえば、電車の車内広告などにアニメ発と思われる絵柄が出てくる。あるいは、おれにとって鬼門なのだが、秋葉原を自転車で走ると、ビルに飾られた嫌なアニメ画、ロリコン画を目にしなければならない。

 アニメ独特の嫌らしいセリフまわしも現実世界に進出してきている。たとえば、コンビニで流れるナレーションなんかに「明るく元気な女の子」を誇張した、テンション高いセリフまわしがはさみこまれる。裏声と表声(?)を混ぜ込んだようなイヤラしい話し方だ。チェーン店の食券販売機にも進出していて、「お金を、入れてください!」などと「あかるく元気な女の子」のテンション高い声で言われると、萎える。頼むから静かに暮らさせてくれ。

 住みづらい世の中だぜ。