針の穴から世界を覗く

 ネット上のニュースやFacebookを見ると、MLB大谷翔平の話題がよく出てくる。サッカーのプレミアリーグのニュースでは、ブライトンの三苫リヴァプールの遠藤がよく取り上げられる。

 大谷翔平がこれまでの日本人選手とは段違いの活躍を見せているのは間違いない。盛んに取り上げられるのは当然だろう。全盛期のイチローが辛うじていくらか近い位置にあったろうか。

 一方で、遠藤はリヴァプールのなかで、残念ながら二戦級の選手である。体を張った守備をしているが目を見張る活躍とはいえず、ファーストタッチやパスは危なっかしい。主戦級の選手がなんらかの事情で出られないときや、相手が弱くて選手を休ませたいときに出ているという感じである。正直、ニュースで取り上げるほどではないと思っている。

 日本人選手の活躍ばかりを取り上げるのはどうなのだろう、と思う。野球もサッカーもチームスポーツだし、素晴らしい選手は世界中にいるし、素晴らしいプレーを繰り広げているのに。

 日本人選手だけを注目して見るのは紙に開けた針の穴から世界を覗いているようなものだと思う。目の前の紙を取り除けば、そこには広い世界が広がっているのに。もったいない。

 もっとも、針の穴から覗く世界には独特の見え方もある。その狭い視界を一生懸命に観察するのも、それはそれで楽しみなのかもしれないが。