あたしゃあ、こう見えてもチャキチャキの江戸っ子だ。
江戸っ子にしちゃあ垢抜けないって話もあるが、裏日本出身の江戸っ子ながでね。江戸の言葉は通信教育で習ったクチだ。ま、しょうがねえやな。
で、だ。
ちいと考えたんだが、江戸っ子が英語を習うとどうなんのかね。
ご存じの通り、江戸〜東京の下町言葉では、「し」が「ひ」に、「ひ」が「し」になる。
「八百屋お七っていう人がいた」なんてのは、「八百屋おひちっていうしとがいた」だ。
じゃあ、「ひしひしと感じる」が「しひしひと感じる」に、丹波さんが旅立った「死後の世界」が「ひごの世界」になるかっていうと、そうはなんないんだから、よくわかんねえ。
丹波先生が肥後の世界に行ったって、しゃあねえからかな。
ま、ンなことはいいや。
でよ、英語で心配になんのが、「he」とか、「she」だ。
江戸っ子が「She is my wife.」と言おうとすると、
「ヒー・イズ・マイ・ワイフ」
になっちまって、ホの字だのモの字だのに間違われんのかね。
外人に道を訊かれると、
「カム・シヤ。イ・ノウ(You know)、キャン・イー・ヒー・ザ・ポーンヒョップ? フロム・ゼア、ゴー・ツー・ストレイト!(ここに来な。あー、ひち屋が見えるかい? そっからまっつぐ行きねい)」
なんてふうになんのか。
「オゥ、ブラザ。チェキ(Check it)。(おぅ、兄弟。聞いてくんな)」
「ヤ。エドッコ・オブ・チェキ・チェキ」
「コズ・ザ・ヒング・ディ・ザ・ヒング('Cause the thing did the thing)、ザ・ヒング・ビケイム・ザ・ヒング、ソー・アイ・ジャス・インテン・ツー・メイク・ザ・ヒング(so I just intend to make the thing)。(ナニがナニしたものだから、ナニしちゃってよ、ちょいとナニしようってわけよ)」
「アー・イー・ヒュア(Are you sure)?(大丈夫かい?)」
「オフ・スティック!」
「ホワッツ・“オフ・スティック”?」
「オゥ、ジス・スットコドッコイ。オフ・スティック・イズ・“オフ・コース、ジ・オーフル・スティック”。(おぅ、このスットコドッコイめ。あた棒ってな、当たりめえだ、べら棒め、のことでい)」
ンなわきゃねえだとう?
ホワッツ・アー・イー・セーイング、ジス・アニモー! ウォッシュ・イア・フェイス、カモン・デイ・ビフォー・イエスタでい!!(なに言ってやがる、こんちきしょうめ! 顔を洗って、おととい来やがれってんでい!!)
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「今日の嘘八百」
嘘二百八十五 「24」の次シーズンは、徹夜続きに登場人物全員疲れ切って、24話全編、眠りこけるという。