2006-01-01から1年間の記事一覧

ネジと人形

小学校低学年の子供の前に、ドライバーと目覚まし時計のセット、それから可愛い人形を置く。 あくまで想像なのだけれども、男の子の多くがドライバーと目覚まし時計のセットを、女の子の多くが人形を取るのではないか(誰か、実験してみてくれ)。 そうして…

絵の計算

などと書きながら、頭の遊びを続けるのだが、北斎という人は、こういう線の仕掛けを多用したらしい。 次の絵は渦ではなく、円がテーマ。富士山があるから、絵が決まる。 ・「富嶽三十六景 尾州不二見原」(江戸東京博物館) 次の絵は直角三角形。 ・「富嶽三…

波のカーブを見る

なるほど、あらためて見直すと、この絵の波にはたくさんの渦巻くカーブがある。 目立つカーブをなぞってみよう。 模写したものを使って申し訳ないが、構図自体はそう違っていないはずだ。ディテールはヘタクソだけれども。 元の絵はこれ。 まず、こういうカ…

渦の絵

先週、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の模写をあげた。 ・稲本喜則名画の部屋 - 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 新潮日本美術文庫の「葛飾北斎」(ISBN:4106015374)を見ていたら、「神奈川沖浪裏」について、こんなことが書いてあった。 自然と人間の…

漢語との合わせ技

これもこの日記で何度も書いてきたのだが、中国由来の言葉、漢語には大げさな表現が多い。 さっきの「万死」なんていうのも、大げさな漢語の例だ。 でもって、漢語(特に四字熟語)の大げささと、先ほど書いた「自分(の行動)について語るとき」、「相手の…

日本語の誇張

逆に、「自分(の行動)をとがめるとき」や「相手(の行動)を持ち上げるとき」には、誇張した表現をよく使う。 例えば、「ありがとう」の元は「有り難い」だが、実際にはそんなに有ることが難い(=珍しい)場合じゃなくても、使う。 「あ、忙しかったら、…

日本語の抑制

この日記で何度も書いてきたが、日本語を母語とする人には、割と言葉を弱めたり、丸めたりする傾向があるようだ。 今、わたしが書いた、「割と」とか、「傾向があるようだ」なんていう言い方も、そのせいだろう。 もう少し正確に言うと、「自分(の行動)に…

コケ4

しかしまあ、なぜにこうもよくコケるのかと思う。 昨日も、コケたわけではないが、店に入ろうとして自動ドアに鼻先をブツケた。眼鏡が斜めにズレ、女の店員に、 「大丈夫ですかっ?!」 とやけに大声で心配されたものだから、店中の注目を集めてしまった。 思…

コケコケコケ

ガキの頃はありとあらゆるところでコケていたが、大人になってからは、なぜか人前でばかりコケている気がする。 それとも、相変わらずあらゆるところでコケているのだが、人前でコケると恥ずかしいから、その記憶だけが残るのだろうか。 今までで一番ハデな…

コケコケ

タイトルは、別にニワトリと化したわけではない。 子供の頃からやたらとよくコケる。 ガキの時分は、しょっちゅう、ドブにはまっていた。 階段を昇れば最初の段に蹴つまづくし、下りれば最後にぐにゅっと床にのめり込む(まだ階段が続いていると勘違いするの…

コケ

ところが、この二枚目意識が粉々に打ち砕かれるときがあるのだ。 コケたときである。 先日、雨が降っているなか、住宅街を歩いていた。もちろん、何となく二枚目としてである。 道のへりに、排水路によく載っている赤錆びた鉄板が、斜めになっていた。雨に濡…

二枚目意識

たいていの男は、心のどこかに二枚目意識を持っているのではないか、と思う。 あ、おれだけですか。いやいや、そんなことはないでしょう。 この二枚目意識というのは、説明がなかなか難しい。 自分をヒーローと思うのとは違う。それはたいがい、ナルシストか…

一生懸命

不思議なことに、「命懸け」ではなく、「一生懸命」をつけると、世界はまた違った姿を見せるのである。 元々は、「一生懸命」ではなく、「一所懸命」。昔の武士が自分(の家)の領地を守ることに命を懸けたことから出た言葉だ。 「一生懸命」はたぶん、誤用…

命懸け

今の小咄もそうだが、言葉の重宝なところは大して手数のかからないところである。 何しろ、冒険映画ならセットを用意して、スタッフにあれこれ指示して、テスト、本番、とえらい手数のかかるところを、言葉なら「黙って泳ぎなさい」の一言で済むのだ。 経済…

思いもよらない世界

人間というのは、目の前に思いもよらない世界が広がると、面白く感じるらしい。 例えば、散歩していて、普段は曲がらない角を曲がる。どんどんわけのわからないほうへ行ってしまい、「あれれ、どこへ行っちゃうのかな」と少々、不安に思う。 そうして、狭い…

シリナデ男

まひとつ、聞いておくんない。 あるところへ音楽を聴きにいったわけだ。 斜め前に、若い、20代前半くらいのカップルが座っていた。 最初からイヤな予感はしていたのだ。 男が女にしなだれかかって、女の腰に手をまわしている。女もまんざらではなさそうだ。 …

襲いかかる手

最後に、絵についての感想を少し。 砕けようとしている波を高速で撮影すると、波の先は実際、こんなふうに見えるのだそうだ。 おそらく、北斎は波をじーっと見て、その瞬間を記憶なり、メモなりにとどめたのだと思う。 しかし、わたしは、だから北斎は偉い、…

彫り師

しかしまあ、感心するのは、描いた北斎の観察眼と構想力ももちろんだが、これを版木に彫ったやつがいるということである。 浮世絵は、確か版木に下絵を貼り付け、それを彫り師が彫っていくのだったと思う。 この波のカーブ、飛び散る飛沫のひとつひとつを彫…

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

あー、葛飾亜北斎である。 ひさしぶりに「稲本喜則名画の部屋」を更新した。 今回は葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」である。 ・稲本喜則名画の部屋 - 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 今回の模写は大変だった。 今までは3時間とか、せいぜい1日でさっさ…

いかりや長介という人

あるいは、日本画の墨絵と、西洋の油絵で考えてみてもよい。 墨絵は即興、出たとこ勝負の度が強い。 バッ。ヒュッ、ヒュッ。チョン、チョン、チョン、で絵が成り立ってしまったりする。そうして、筆の運びの勢いで人を「ンン〜〜」なんてふうに唸らせる。 キ…

練り上げたものと出たとこ勝負と

ここから先は好き嫌いの話も混じってくるけれども、じゃあ、ドリフターズのように念入りに作ったものが面白いかというと、必ずしもそうとは限らない。 念入りに作ったものは、次はどうして、その次はどうやって、と段取りが決まっているから、どうしたって勢…

ドリフターズのコントづくり

昨日の続き。 放送作家の高田文夫は、若い頃、半年ほど、ドリフターズの「8時だヨ! 全員集合」のコント作りをしていたそうだ。この話がなかなか面白い。 行くと一番上座にいかりや長介さんがいて、他にはドリフのメンバーが全員とディレクターとか作家の前…

いじめとバチ

いじめ問題について、最近読んだ中で一番整理されていて、得心の行った文章。 ・3ToheiLog - 「いじめ」の耐えられない軽さ:問題編「罰とバチの違い」 何かの芽がありそう。 では、陰湿の度が増しているように見えるのはなぜだろうか。 ▲一番上の日記へ - …

ドリフターズの不思議

ちょっと不思議に思うのだが、彼らの笑いのスタイルというのは、どこから来たのだろうか。 彼らは元々、コミックバンドとして出発した。 兄貴分にはクレージー・キャッツがいる。志村けんを除いて、メンバーの名付け親は、クレージー・キャッツのハナ肇であ…

ドリフターズとわたし

わたしは富山で生まれ育って、高校までいたのだが、当時、富山には民放がフジテレビ系列と日本テレビ系列しかなかった。 だから、高校までTBSの番組はほとんど見たことがない。 そう言うと、同世代の東京出身者は、じゃあ、ザ・ベストテンやドリフの全員集合…

警備員とガキめらとアヤシの男

家で仕事をすることが多く、飯を食いに出たり、人生が突然嫌になって散歩したりと、日中、よく町をふらふらする。 周辺住民からすれば、アヤシの男であるかもしれない。 町には進学塾がある。 いくつかのビルに入っていて、看板・サインの類にもお金がかかっ…

次の見出し。 「ガキの作文」に文学賞を与える亡国の兆し 今の文学賞に、亡国へ導くほどの力があるとは知らなかった。 ミセスのかくれた味 うまい味 女性誌「ミセス」の記事なのだが、見出しだけ見るとドキッとする。 あ、わたしがシケベなだけですか。シィ…

ライフスタイル

新聞を見ていて、いくつか目にとまった雑誌広告の見出し。 静かに呼吸する秋のロハスミュージック16曲 ロハスとは、LOHAS(Lifestyle Of Health And Sustainability)。 訳すと、「健康で持続可能な生活様式」だが、この手のものを好む人達は「生活様式」で…

いじめについて

長々とつまらない話を書いてきたのは、いじめについて考えていたからだ。 子供達のいじめ自体は昔からある。 時々、衝撃的な事件があると、わっとマスコミで盛り上がる。テレビではあれやこれやと討論番組が放送される。そうして、しばらくすると、くすぶっ…

犬の糞の文化

「文化」という言葉はいろいろな意味に使われるので、時々、混乱を招くようだ。 まず、「文明開化」の略としての「文化」と、もう少し精神生活(大仰な言い方だけれども、ま、考えたり、感じたりして生きております、ということ)の関係する「文化」がある。…