家で仕事をすることが多く、飯を食いに出たり、人生が突然嫌になって散歩したりと、日中、よく町をふらふらする。
周辺住民からすれば、アヤシの男であるかもしれない。
町には進学塾がある。
いくつかのビルに入っていて、看板・サインの類にもお金がかかってそうなので、大手なのだと思う。
子供達を狙った犯罪が多いせいか、午後になると、この進学塾の旗を持った警備員達が、町の要所要所に立つ。
全員、初老のオッサンである。知らんけども、定年退職後の仕事としてやっている人が多いんではないか。
初老の警備員達は、そう指導されているのだろう、塾にやって来る子供達に「こんにちは」、「ハイ、こんにちは」と次々に声をかける。
ところが――たまに例外はいるけれども――ガキめらは無視するのだ。
こやつらの目に、警備員のオッサン達はどう映っているのだろうか。もしかして、自分達に奉仕する者のようにでも捉えているのではないか、と思う。
進学塾には結構な数の警備員の人件費がかかるわけであり、それは塾への親の支払いに含まれるはずで、親は月々、かなりの金額を払っている(払える)のだろう。
ガキめらは、いいとこの坊ちゃん、嬢ちゃんかどうかまではわからないけれども、そこそこの収入がある家の子供達だと思う。
ヤな感じである。
人生に警備員はいないんだぜ、ガキどもよ。
時々、無視しくさっているガキめらにカンチョーしてやりたくなるのだが、そういう怪人物に備えるために進学塾は警備員を雇っているわけであり、わたしはその矛盾に身悶えするのである。ああん。
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「今日の嘘八百」
嘘二百七十三 つむじ風の段階でしっかり抱え込めば、竜巻への成長を食い止められるという。