ハロウィンと・・・

 相変わらずのくだらない思いつきを書く。

 もう三週間ばかり経ったけれども、今年も渋谷や六本木ではハロウィンの騒ぎが大変だったらしい。

 おれの記憶(かなり怪しい)では、東京の繁華街でハロウィンが広まったのは五、六年くらい前だと思う。あくまで想像だが、日本のアメリカ人がノリで仮装をしたのに若者がのっかったのではないか。

 おれが初めてハロウィンという行事を知ったのは、ガキの時分、スヌーピーで有名な漫画ピーナッツでだった。その後、映画などでも見た。「お菓子をくれないとイタズラするぞ(Trick or treat)」とお化けの仮装をした子供達が家々をまわり、大人たちはあらかじめ用意しておいたクッキーやなんかを渡す。元はケルトの風習だったそうだ。

 日本のハロウィンはもっぱら仮装の部分だけを取り入れている。

 アメリカのほうの、子供達が近所の家々をまわるという習慣はなかなか微笑ましくてよい。互いにある程度見知っているような町や村では、共同体の紐帯を強める役目も果たすんだろう(もっとも、現代は都市部を中心に地縁が弱まっているだろうし、犯罪も起こり得るから、なかなか難しいところがあるのかもしれないが)。

 日本にも同じような民間行事がなかったかなあ、と考えて、すぐに思い出した。秋田県男鹿半島のナマハゲである。

 赤鬼と青鬼が冬の夜に家々をまわる。子供達に向かって「泣ぐ子はいねがー」と迫る。青鬼は手に出刃包丁を持っているから、泣かない幼児はいないだろう。なかなかに理不尽で、おれは気に入っている。

 このナマハゲとハロウィンを組み合わせたら、どうだろう。草の根の日米修好につながるではないか。

 具体的には、ナマハゲをアメリカに輸出するのだ。十月三十一日のハロウィンに、何も知らない子供達が仮装をして、「お菓子をくれないとイタズラするぞ(Trick or treat)」と家々をまわる。大人の側は赤鬼青鬼の扮装をして待ち構え、ドアを開けながら「泣ぐ子はいねがー」と出刃包丁を振り上げる。子供達は腰を抜かすだろう。中には失禁する子供もいるかもしれない。

 そして、子供達には知らない家に行ってはいけない、大人は信じてはいけない、という教訓とトラウマが残されるのだ(フッフッフ)。なかなかに現代的である。