チクる

 学校時分になかったですか。「てめえ、先生にチクったろ」みたいな話。
 この違法コピーの通報は、あのチクる感覚にとてもよく似ている。ほとんど同じだろう。


 二重のルールのような話だと思う。


 さっきの学校時分のチクる話でいうと、ガキにはガキの集団、まとまりがある。その外には、先生が上に立つ学校のルールがある。
 チクる、ということには、どこかやましさがつきまとうのだけれども(あ、そうでもないですか。だったらいいです)、あれは外のルールに従って、内側のガキ世界のルールっつーか、仁義っつーかを破るやましさだと思う。


 今の会社は、昔よりだいぶドライなところが増えたようだけれども、それでも身内感覚の強い会社は多いと思う。


 先の違法コピーのCMは、社員個人の正義感、遵法意識に訴えることを狙っているのだろう。外側のルールのほうから攻めているわけである。


 身内感覚が勝つか、外側のルールが勝つか、それはわかりません。ケース・バイ・ケースじゃないですか(あー、便利な言葉だ)。
 ただ、社員からの内部通報なんていう話は、昔はあんまりなかった気がするから、だいぶ会社も変わってきたということだろうか。


 話は少し飛ぶけれども、近頃出てきた、いじめたガキの厳罰化の話。あれも外側から攻める方法だと思うけれども、それがうまく行くかどうか考えると、んー、すっきりしない。
 外側からの締め付けが強くなると、内側の集団はピリピリする。“チクったやつ”が今以上にひどい目にあう危険もあると思う。


 例えば、高校野球で不祥事に対するペナルティを強めたとする。部内の下級生が不祥事を連盟に通報したら、その下級生が上級生達からどういう目にあうか、想像してみられたし。


 ンじゃあ、どうすればいいのか、と訊かれると、わからん、わからん、と逃げるほかない。そこらが、愚脳のわたしのイタいところなのよね。


 えー、社長さん。ソフトはちゃんと買いましょう。

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「今日の嘘八百」


嘘三百十五 全ては時間が解決してくれます。


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