違法コピー通報のCMを考える

 昨日の内部通報の話の続き。


 社内でソフトウェアの違法コピーをしていたら通報してほしい、という業界団体のCMがある。あれを「男はつらいよ」世界を借りたCMにしたらどうなるか、考えてみた。


 ――と書いてから、不安になった。もしかして、今の十代、二十代の人は「男はつらいよ」なんて、ほとんど知らないんじゃなかろうか。
 いや、タイトルと渥美清の顔くらいは知っているだろうが、登場人物達の設定はわからないかもしれない。


 そういう人は映画全48作を見てから、この先を読んでいただきたい。一本一時間半として、ちょうど三日三晩(72時間)徹夜すれば、全作制覇できるはずだ(ほとんど、「行」だね)。


 我々の世代は、「男はつらいよ」から人生と恋のテクニックを学んだと言っても過言ではない、というのはかなり過言だが、同世代の間で、あの作品のあの場面、と言えば、「おう、あそこねっ!」と、トーンと答が返ってくる。そのくらい、深い影響を受けたものである。それも嘘である。


 まあ、簡単に設定を書いておくと、渥美清扮する主人公、車寅次郎はテキ屋。柴又の帝釈天の門前通りにある団子屋「とらや」に叔父、叔母が住んでいて、妹のさくらが店を手伝っている。
 とらやの裏には、通称・タコ社長(本名・桂梅太郎。知らなかったでしょう?)の経営する印刷工場があり、さくらの亭主、博が勤めている。工場の経営は厳しく、タコ社長はいつも金策に走り回っている――。