新聞を見ていて、いくつか目にとまった雑誌広告の見出し。
静かに呼吸する秋のロハスミュージック16曲
ロハスとは、LOHAS(Lifestyle Of Health And Sustainability)。
訳すと、「健康で持続可能な生活様式」だが、この手のものを好む人達は「生活様式」ではなく、「ライフスタイル」と言いたがるかもしれない。
何が「持続可能」かというと、「貧乏でやりくりする暮らし」、ではなくて、たぶん、「人類の快適」である。凄いところまで踏み込むものだ、と思う。
そういう大仰なものを「ロハス」とか、「ライフスタイル」という言葉でカッチョよく見せかけてしまおう、というのが、この種のブームを狙う人の作戦なのだと思う。
福田和也がこんなことを書いている。
私たちの世代、つまり大学生活のなかばに、田中康夫の『なんとなく、クリスタル』を店頭で発見した世代は、人生の重い選択を消費文化の衣をかぶせることでしのいできた。クリスマスにフランス料理を食べることで恋人との結びつきを確認し、トラッド・ショップでスーツを買うことで社会人であることを認識し、ティファニーの指輪で結婚の意志を表明し、結婚式の引出物にジノリのコーヒーカップとソーサーを配った世代は、重いはずの選択をすべてファッションで誤魔化してきた。それはたしかに欺瞞であったが、しかし欺瞞が必要とされたのは、義務を果たそうという意志があったからである。
「美智子皇后と雅子妃」(文春新書、ISBN:416660466X)より。
ロハスと人生の重い選択には関係ないだろうが、「消費文化の衣をかぶせることでしのぐ」はロハスについても当たっているように思う。
「地球環境」なんていうドーンとしたものへの義務(のようなもの)を、欺瞞で誤魔化そうということなのだろう。
不思議なことに、Googleで「LOHAS」と検索すると、日本語サイトばかりがひっかかる。
LOHASなるものはアメリカやヨーロッパで広がっていると聞いていたのだが。
なぜ英語やその他、欧米のサイトが出てこないのだろう?*1
最初に戻って、しかし、何なのだ、「ロハスミュージック」って。
あくまでわたしの霊感だけれども、聴いていて癒されるとか、落ち着いた気分になるとか、ちょっと元気が出るとか、せいぜいそういう音楽のことなんではないか。もしそうなら、笑止の言い回しである。
それとも、「静かに呼吸する」ということは、衰弱して死にかけているのだろうか。