2020-01-01から1年間の記事一覧

天国の年齢

夢の中で自分は何歳なのか。 おれは今、五十三歳だが、夢の中で自分の年齢を意識することはない。 生まれ育った田舎を自転車で走り回ったり、いささか恥ずかしいが、明日テストなのになーんもやってない、ヤバいわ、と焦る夢を夢をよく見る。どうやらそのと…

日本人論と血液型性格判断

今回のコロナ騒ぎのように世情がわさわさすると、やたらと日本論や日本人論が語られるようになる。 おれは、日本人論の中には傾聴すべきものもあるけれど、たいがいはいい加減なものだと思っている。他の社会の人々ときちんと比べているとは限らないし(せい…

卵の不思議

おれは昔から進化ということに非常な不思議の念を抱いている。もっとも、それで進化論のほうを勉強するかというとそういうわけでもなく、だから学問方面が深まることはない。ただ不思議だ、不思議だと思っているだけである。 キリスト教徒の中には進化という…

ミスターとムッシュー

なぜだかわからないが、英語とフランス語の語感の違いについて考え始めた。正確に言うと、カタカナ英語とカタカナ・フランス語の語感の違いである。 英語でそれなりの社会的地位にある男性を「ミスター」と呼ぶ。フランス語なら「ムッシュー」だ。Google翻訳…

再生ボタン

相変わらず物の役に立たないことばかり考えている。 今朝、トイレに座りながら、「プレーヤーの再生ボタンの記号はなぜ左から右に向かう三角形なのだろうか?」と考えた。自分の頭の中の回線がどのようにつながってこういう疑問が生まれるのか、自分でもわか…

ビートの体幹

おれは中学のときからもっぱら洋楽を聞くようになった。中学時代は洋楽のジャズ、フュージョン、高校時代はロック、大学からは雑食だが、R&Bやファンクをよく聞くようになった。日本の音楽はムード歌謡を除いてあまり聞かなかった。 昔で言うところのニュー…

原始仏典

原始仏典 (ちくま学芸文庫)作者:中村 元発売日: 2011/03/09メディア: 文庫 仏教思想学の大家、中村元先生が原始仏教の経典について記した一冊。NHKのテレビやラジオで講義したものが元になっているそうで、語り口はとてもやわらかく、わかりやすい。 原始仏…

アニメの癖

災厄のときになると災厄の映画を見たくなるものなのか、Netflixでアニメ「アキラ」の人気が高まっているそうだ。 おれは日本のアニメが苦手なせいもあって、今まで見たことがなかった。アニメだから、という理由で敬遠していたところもある。 原作の漫画は好…

陰謀論

陰謀論というのは根強い人気のあるジャンルで、平常時には歴史上の陰謀論が唱えられ、非常時になると現代の陰謀論が唱えられる。 陰謀というものは間違いなく存在するとおれは思う。米騒動と造船疑獄とオイルショックとパナマ文書事件に関わったおれが言うの…

幸福な産院崩壊

例のコロナ・ウィルスで世界中ドタバタしており、特にイタリアは大変な騒ぎのようである。 外出が禁止され、アパートメントに住む人々がベランダに出て大合奏を繰り広げる動画が一気に広まったり、ボードビリアン達が手洗いの仕方や、直接の接触を避けること…

一を聞いて十はわからない

たとえば、アメリカを旅行して、たまたま知り合ったおばさんの家に泊めてもらったとする。おばさんは何くれとなく面倒みてくれた。そうすると、こんなふうに考えがちだ。「アメリカ人は親切だ」。 あるいは逆に、アメリカを旅行して突然暴力をふるわれ、非常…

一丸

「一丸となって」とか、「総力を挙げて」などという表現を好む人がいる。 先日、「官民一丸となって」というセリフを見かけて、怖じ気をふるった。ヤだね! ゴメンコームルヨ! 官なんかと一緒になりたくないし、一緒にやったら、それは癒着というものである…

マンション名の日本語訳

周知の通り、ご一新の文明開化以来、我が国における洋物崇拝には非常なものがある。一方で、それに対する反作用としてのニッポン・バンザイ論もはびこっていて、鏡に自分の顔を映してニヤニヤしているような姿をそこらじゅうで目にできる。もっとも洋物崇拝…

フナムシのいのち

動物の生き死にについて「同じいのち」(なぜかひらがなで書かれる)と言い出す人がよくいて、読んだり聞いたりするたびにおれは困ってしまう。 犬猫のようにペットとして飼われている、というか、人によっては家族のような存在になる動物なら、まあ、気持ち…

タイフーン期

表現の分野でも科学技術の分野でも、短期間に物事が非常に進んで、面白い出来事が次々に起きる時期というのがある。仮にタイフーン期とここでは読んでおこう。 たとえば、ロックなら1960年代。パーソナルコンピュータなら1980年代前半。インターネット技術な…

ちょっと

少し観察してみるとわかるが、日本語では言葉を弱めることが多い。おれも今、冒頭で「少し」と書いたけれども、「少しばかり」とか「やや」とか「もしかすると」などと言葉を弱めたり、ぼかしたりする使い方が多いのだ。「白髪三千丈」とか、「怒髪天を突く…

痒みの誕生

おれはアトピー性皮膚炎で、子供の頃から現在までおおよそ半世紀にわたってカイカイカイカイと掻いてきた。おれの人生は痒みとの戦いであったといっても過言ではない(過言だが)。 痒みという感覚は実に不思議で、最近の科学でもどういう仕組みで感じるのか…

見たいものを見てしまうのココロ

たまたまここ2回ほど、日本論や日本人論への疑惑のマナザシについて書いたけれども、特に理由はない。毎度ながらの行き当たりばったりだ。 「折りたたみ北京 現代中国アンソロジー」を読み始めたら、編者のケン・リュウが序文でこんなことを書いていた。ちな…

日本人を特殊としたいココロ

過敏性腸症候群について調べていて、こんなページに行き当たった。 toyokeizai.net 中に、こんな文章がある。過敏性腸症候群についての記者会見での出来事だそうだ。 驚いたのは「緊張やストレスでお腹を壊す、眠れない。日本人は欧米人に比べて、この病気に…

ニッポン・バンザイ論と不安感

田中克彦の「ことばと国家」を読んでいたら、日本語への讃美についてのこんな一節があった。 一般に、自分のことばをことさらにほめる必要が生じるのは、どちらかといえば劣勢に立たされたり、あるいは強力な声援を送っててこ入れする必要のあるばあいである…

物に生命を吹き込む

誠に不思議なのだが、おれには、手にしたものが飛んでいってしまうことがある。昨日も、手にした歯ブラシが突然空中を舞い、歯磨き粉を撒き散らした。ドアを開けようとして鍵が跳ね飛んだ。自動販売機に入れようとした100円玉が手から落ち、自動販売機の下に…