ミスターとムッシュー

 なぜだかわからないが、英語とフランス語の語感の違いについて考え始めた。正確に言うと、カタカナ英語とカタカナ・フランス語の語感の違いである。

 英語でそれなりの社会的地位にある男性を「ミスター」と呼ぶ。フランス語なら「ムッシュー」だ。Google翻訳で英語の「Mister」をフランス語に直すと「Monsieur」と出てくるから、まあ、間違いないだろう。

 日本において、カタカナ英語で「ミスター」と言うと長嶋茂雄のことである。「ミスター・ジャイアンツ」「ミスター・プロ野球」から来ている。しからばこれをGoogleカタカナ翻訳で(そんなものないが)フランス語に変換すると、ややや。「ムッシュー・プロ野球」となってしまう。違和感ありありである。なぜかパイプをくわえているみたいになってしまう。

 

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ムッシュー・プロ野球

 

 逆に日本で「ムッシュー」と言うとかまやつひろしのことだが、これまたGoogleカタカナ翻訳で(そんなものやっぱりないが)「ムッシューかまやつ」を英語に変換すると、「ミスターかまやつ」となってしまう。長嶋茂雄の影が忍び寄ってくる。

 もっとも、フランス語の「Monsieur」には、英語の「Mister」と「Sir」の両方の意味があるらしい。男性の敬称について、英語圏とフランス語圏では社会文化的に少しく違いがあるのだろう。

 映画などのアメリカ軍の新兵訓練ではよく、教官に対して「Yes, Sir, yes!」「No, Sir, no!」と集団で大声を出す。

「お前らの股間にはちゃんとキンタマがついておるのか!」

「イエス、サー、イエス!」

「早くおうちに帰って、ママのおっぱいを吸いたいのだろう!」

「ノー、サー、ノー!」

 てな具合である。

 あれ、フランス軍だとどうなるのだろうか。

「ウイ、ムッシュー、ウイ!」

「ノン、ムッシュー、ノン!」

 なんだか軍隊というより料理店のウエイターみたいだが、まあ、これはミーが頭の中に勝手に積み重ねてきたおフランスのイメージのせいザンス。