2019-01-01から1年間の記事一覧
「緊張感をもって臨んでいただきたい」 という言い回しがあって、社長や大臣などのエラい人の訓示によく出てくる。 こういう言葉が出てくる背景は何なのだろうか。 まずは緊張感をもって臨むと、よい結果が得られるという考え方があるのだろう。一方で、わざ…
ここのところ気になっているのだが、仕事方面というか、あらたまった場で「ちょっと」という言葉が多用されているように思う。「ちょっといいですか」、「ちょっと思ったのですが」「ちょっとそういうふうに、ちょっと言いたい」などと、いろんな言葉にくっ…
おれは常々、日本の社会というのは大勢のおもむくところに自分もおもむくのを基本にしておるのでは、と思っている。他の多勢がそうしているから自分もそうするという行動原理があって、よく言えば従順だし、悪く言えば自分の判断の範囲が狭い。もちろん、あ…
ラーメンとカレーライスは日本で人気のあるツートップだと思うが、不思議とカレーライスはラーメンほど語られない。 ラーメンについてはどこそこのラーメン屋のスープがどうのこうと評論、批評めいたものがわんさとあるし、ラーメン屋を紹介するムックやブロ…
今朝、辛子明太子で飯をわしわし食いながら、ふと思った。「タラコ(明太子)はひとつひとつがきちんとパッケージされておる。実に素晴らしい」。 タラコの実体は小さな卵の集まりだが、それを薄皮で包み、お一人様向けに整形されている。素晴らしい。 東海…
近所のスーパーに行くと、マグロの解体ショーなるものがあったらしく、さばいたばかりの身を売っていた。ショー自体は見逃したが、「マグロの解体ショー」と聞いただけで「おお!」と血湧き肉躍るものがある。 調べてみると、出張してマグロを解体するという…
「disる」という言葉がここ何年かでよく使われるようになった。揶揄するとか、ひどく言うとか、あげつらうというような意味で、主にネット上での言語活動に使うが、この頃は一般世界にも踏み出してきたようだ。 例えば、今とっさにおれがdisるなら、こんなこ…
おれは皮肉な性分で、皮肉な見方をしたり、皮肉を言ったりするのがほとんど習い性になっている。 皮肉というのはスパイスのようなもので、少量ならあれやこれやを素晴らしく美味しくするが、使いすぎるとぶちこわしてしまう。スパイスは全然平気という人もい…
2025年に大阪で万博が開かれるそうで、1964年の東京オリンピック→1970年の大阪万博、2020年の東京オリンピック→2025年の大阪万博と、なんだかひとめぐりするみたいである。60年近く間が空いているから、還暦に近い。 しかし、時代背景は当然変わっているわけ…
物が生きたものとして化けるということが日本には昔から伝わっているようで、たとえば、唐傘お化け、提灯お化けなんていうところが有名だ。うろ覚えだが、確か、中国の怪談にも物が化ける話があったと思う。欧米についてはよく知らないが、あまり聞いたり読…
世の中には物事を大雑把にふたつに分けて議論するクセのようなものがあって、たとえば、文系・理系なんて分け方がそうだ。 いろいろな学問分野を見るともちろん多種多様であって、しかもひとつの学問分野の中でも人によってアプローチの仕方は随分と違ってい…
先週、イギリスの庶民院(The House of Commons。下院)のムービーが、英語があまりわからなくても面白いと書いた。 そのテレビショウ的な面白さはジョン・バーコウ議長の生き生きとした仕切りぶりによるところが大きいのだろう。EUではブレグジット騒ぎでイ…
イギリスではEC離脱が3月31日に迫って大騒ぎらしい(いわゆるブレグジット)。メイ首相がECとまとめた合意案が庶民院(The House of Commons。日本では「下院」とも呼ばれるが、「庶民院」のほうが歴史が表れていておれは好きだ)で否決された。ECは再交渉な…
日本語の特性のひとつに、一人称、二人称がたくさんあることが挙げられる。 一人称の言葉を思いつくままに書くと: 私、僕、俺、おいら、あたい、小生、我輩、自分、わし、あっし、手前、やつがれ、朕、拙者 まだまだあるだろう。 二人称: 君、あなた、あん…
前回、日本語は修飾する言葉が先に来るせいで複雑な構造の文章を書くのに向いていない、述語が最後にくるので文を読み終わらないと理解できないと書いた。 しからば(鹿騾馬)、日本語は言語として劣っているのかというと、そう簡単には言えない。たとえば、…
おれはコピーライターという仕事をしている。広告宣伝の仕事はそれほど多くなく、主に企業に頼まれて雑多な文章を書いている。現代の代書屋である。 代書屋であるからして、文章に接したり、自分でひねくり出したりするのが飯のタネだ。飯のタネだから、日本…
もうお亡くなりになったが、アートディレクターの長友啓典さんが大阪の笑いについて語るのを聞いたことがある。長友さんは大阪の出身(1939年生まれ)だが、戦後の大阪は今のようにお笑い全盛ではなく、日常会話も「まずは笑い」というふうではなかったとい…
宮崎市定著「中国史」を読んでいる。 中国史(上) (岩波文庫)作者: 宮崎市定出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/05/16メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 宮崎市定(みやざき・いちさだ)先生は、内藤湖南らの京都大学東洋史学を継承、発…