こんなところにお出ましいただいて誠に恐縮なのだが、談志師匠がイナセな火消しの頭(かしら)に扮している写真である(「立川談志 ひとり会落語CD全集 ―第三期―」、コロムビアミュージックエンタテインメント、ASIN:B00005EOF1)。
さらに恐縮なのであるが、ここで取り上げたいのは、談志師匠についてではなく、チョンマゲについてである。
いい具合に斜めになっている。
その昔は、この長さ、太さ、斜め具合に、「お。カシラ、キマってるねェ」なんぞと声をかけられたのであろう。
昔のことというのは知っているようで知らないもので、このチョンマゲ、どういうふうに頭に乗っけていたのだろう。
チョンマゲというのは月代(さかやき)を剃り上げて、後ろのほうの髪を束ね、前に乗っけたものだ。
ということは、頭を前後左右に動かすと、結構、ゆらゆら動いたものなのだろうか。
あいにく、時代劇のほうのチョンマゲはカツラなので動かない。
しかし、実際には、江戸の人、どうしていたのだろう。
頭皮に糊でじかに貼っ付ける、なんてことはないと思うのだが……。
もし、ただ乗っけていただけなら、談志師匠のチョンマゲのようにイナセに斜めにしておくには、結構、気を遣っていなければならないように思う。
「おぅ、気安く肩ァ叩くない! マゲが動いちまうじゃねえか」
なんてふうに、始終、手でマゲを触っては位置を確認し、直していたのか。
まるで田舎の高校生の巨大リーゼントだ。ま、あれはあれで、マゲと同じく男気の象徴ではあるが。
時代劇では、どんなに駆けたって、マゲはぴたっと頭皮に貼り付いている。
しかし、実際には、駆けると、頭の上でパタパタうるさく跳ねたのではないか。
これでは、下手人を追いかけるとき、平次親分も大変だったろう。
歌舞伎の「白浪五人男」と言えば、五人が勢揃いして、名乗りをあげるシーンが有名だ。
しかし、五人がイヨッ、と見得を切った瞬間、突風が吹いたらどうなるのだろう。いっせいにマゲがおっ立つのか。何とも間抜けである。
あれ、五人男は月代を剃っていないんだったかな……。まあ、いいや。
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「今日の嘘八百」
嘘四百五十九 安倍総理の主著は「へ」という名の美しい国についての本である。