福島の事件は、いやはやひどいものだ。
全国の高校三年生のみなさんは、いっしょくたにされて、いろいろと不愉快に感じることだろう。
ま、しかし、物は考えようで、「最近の高校生は〜」と言ってもらえるということは、まだ希望を持って見られているのだ。
わたしくらいの年になると、詐欺、強盗、人殺し、いびり、裏切り、性犯罪、恐喝、贈収賄と、高校三年生なんて鼻で笑っちゃうくらい、ひどいやつがたくさん出てくる。
しかし、「最近の四十歳は〜」などと言われることはなく、ま、要するにアキラメられているのである。
調べたわけではないけれども、たぶん、全国には二百万人くらいの高校三年生がいるだろう。
その中からひとり、ひどいことをやらかすのが出てきたのであって、ほとんどの高校三年生は、それぞれに凸凹しながらも、まあまあまっとうに暮らしているんだろうと思う。
中高生の犯罪の報道では、なぜかよく学校の成績が取り上げられる。それもたいていは、成績がよい、という話になる。
昨日の件では、「スポーツは万能だった。勉強も優秀だった」、とか。
たまには、「運動音痴だった」とか、「ドッジボールで最初に狙われるタイプだった」とか、「成績はかなり悪い」とか、「九九でつまづいている」などと報道してもいいと思うのだが、そういうのを見た覚えがない。
報道する側は、特に容疑者が少年の場合、意外性がウケることをよく知っているのだろう。
考えてみればひどい話で、視聴者や読者の、「そんな子がなぜ」、「頭のいい子ほど〜」という感想をハナから期待しているわけだ。
報道とはいったい何なのか、と考えてしまう。
考えてしまう、と勢いで書いてはみたが、もちろん、本当はそんなに考えていません。ハイ。
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「今日の嘘八百」
嘘四百三十三 それでもおれは人間を信じてるぜ。