よろしかったでしょうか

 昨日書いた敬語とはちょっと違うのだが、「よろしかったでしょうか」という言い回しがあって、気になる人も多いようだ。


 レストランや喫茶店など、客からの注文を聞いて、確認する際に出てくる表現だ。


 のっけから話がそれるが、わたしには秘やかな野望がある。
 ファミリー・レストランに大勢で行く。各自、ばらんばらんの注文をして、ウェイトレスが注文を確認する。


「ハンバーグステーキ、ライスで、スパゲティ・ミートソースのセット、コーヒーをお食事の後で、カレーライスとサラダ、オリーブのドレッシングで、クラブハウス・サンドウィッチ、ミネストローネのスープを追加で、本日のオススメの牡蠣フライ、ロールパンと紅茶で、紅茶はお食事と一緒に、カツオのカルパッチョ、あつあつ石焼きビビンバ、卵抜きで、チョコレート・プリン、チーズケーキ、ストロベリー・アイスクリーム、ウーロン茶、メロンソーダ、昆布茶、以上でよろしかったでしょうか?」
「全部、違います」


 ほんのちょっとの勇気が足りなくて、まだ実行したことがない。


 まあ、それはいいのだが(なら書くな、という御意見もあろう。わたしもそう思う)、この「よろしかったでしょうか」という表現、わたしは実際に耳にするより、「そういう誤った言葉遣いがある」ということを、雑誌か何かで先に知った。


 だから、実際に店で「〜以上でよろしかったでしょうか」という言葉を聞いたときには、「おお、これが! あの!! 例の!!! 出ましたか!!!!」と感嘆した。


 新鮮な違和感を覚える前に、知識として得てしまったせいか、たまに耳にしてもあまり気にならない。「お。よろしかった、と来ましたね」とイヤミに心づくくらいである。
 あるいは、もう耳慣れてしまったのかもしれない。