マスカラ

「最近の若い子は」という例の類で、よく「電車の中でメイクをして平気でいる」なんていう指摘が出る。
 恥ずかしくないのか、と、まあ、そんな論調なのだが、あんな面白いものをなぜ揶揄するのかと思う。


 建築であれ、料理であれ、目の前で何かができあがっていく様というのは、見ていて面白い。


 化粧なら、ベース作りから始まって(ファウンデーション=土台だから、ビルの基礎工事と同じだな)、口紅を塗り、鏡に向かって口紅をんぱんぱさせ、アイラインを引いて、マスカラでまつ毛を整える。
 その間、コンパクトの鏡を、志ん生の言う「近目(ちかめ)が水族館行ったような目ェして」、じいっと見ている。
 あの手練手管を観察していると、素敵に面白い。


 化粧の解体工事もまた、いい。


 メイク落としのテレビCMで、マスカラを引き伸ばすようにして落とすシーンをやっている。
 こんな目になる。



 顔というのは、ほとんど油絵か看板だな、と思う。


 ウォータープルーフ・マスカラという言葉を聞いたこともある。「ウォータープルーフ」だから、水に強いんだろう。
 雨やなんかもあるのだろうけど、状況次第では、涙でマスカラがどろどろ落ちては大変! ウォータープルーフ・マスカラなら、男の前でどんだけ泣いても大丈夫、ということなのではないか。


 男は、女の涙にやられるからなあ。あるいは、やられないまでもどうしたらいいのか途方に暮れる。
 女性のミナサン、泣いて泣いて泣きまくってください。脱水症状を起こすくらいに。スポーツドリンクを持っていくくらいに。ウォータープルーフだから、大丈夫。


 いやいや、女性が美しくなるのは、男にとって喜ばしいことですよ。ええ。イナモトは本気と書いてマジでそう思っております。
 アリジゴクという言葉も思い出しますが。あわわわわ。


 今日は特別サービスだ。解体工事の全体風景も描いておきましょう。



 まあ、世の中には、表には出ないさまざまな努力があるわけですね。その努力、イナモトは深ーく尊敬しております。


▲一番上の日記へ

                    • -


「今日の嘘八百」


嘘九十五 メイク落としをしたら、目ごと落ちた。