テクロノジーと色気

 携帯型の扇風機を持って風を当てている女性を見かけることが多くなった。

 たいがいが淡い色をしたプラスチックの扇風機だ。若い女性が使っていることが多い。男が使っているのはあまり見かけないし、年配の女性が使っているのも見かけない。

 何年か前に中国人の女性がよく使っていて、へええ、と見ていたら、最近は日本の若い女性にも広まったようだ。

 この暑さだ。扇風機で風を当てたいという気持ちはわかる。しかし、どうも直接的すぎるというか、そのものずばりというか、要するに色っぽくない。

 若い女性が扇子で扇いでいるなんていうのはいいものだ。浴衣で団扇なんていうのもいい。しかし、扇風機を手に持っているなんていうのは色気がなくて、面白くない。

「いや、あんたを楽しませるためにやってんじゃないんだよ」と言われそうだが、しかし、そういうあなたも素敵に見えるように服には気を使うし、お化粧だってするじゃないですか。それは会う人のためということもあるだろうが、一方で外見(そとみ)を気にするところだってあるはずだ。え? 違う?

 古今亭志ん生に、女郎の格好を語って、「あれ、なに。コール点の足袋。色っぽくないよ!」というのあったが、見たことないけど、わかる気がした。

 テクノロジーは中には例外があるけれども、たいがいにおいて色気がない。安っぽいプラスチック製の扇風機なんて特にそうだ。

 扇子でゆらゆら。これだと思うんだけどな。