一次元の女

「二次元の女にしか興味ない」「三次元の女には興味ない」と言う人がいて、アニメとか漫画の中の女性にしか興味を持てないということなのだろう。個人の性癖の問題であるからして、ハタからどうこういうことでもない。

 それでふと思ったのだが(おれはふと思ってばかりいる)、一次元の女というのがいたら、どういう具合なのだろうか。

 三次元は縦横奥行きの三軸で形の決まる世界で、二次元は縦横の二軸である。一次元は一軸、つまりは線か点か空白しかない。

・ー・・・ ・ー・ー・ ・ー・

 モールス信号で「おんな」と書いてみた。まあ、確かに一次元の女には違いないが、全くコーフンしない(もっとも、三次元の女だからといってやたらとコーフンするわけでもないが)。

 一次元から一気に次元を飛躍して、四次元の女というのはどういうものだろうか。縦横三軸の他に時間という軸を取り入れて、四次元というのはある。「時を駆ける少女」(筒井康隆のSFで昔映画にもなった)なんかは言葉からしていかにも四次元の女という感じがする。

 しかし考えてみれば、縦横三軸に時間で規定されるとなったら、この世で生きている女性はみな時間のなかで手を振ったり足をあげたり口を開いたり「うっふん」なんて言いながら動いているわけであり、つまりは四次元の女ということになる。

 なんだ、普通の女性はみな四次元の女ではないか(三次元の女がいるとしたら彫像である)。おれら男はたいがい時間の中で動いて「うっふん」なんて言っている女に興味を抱いたりコーフンしたり嫌がったりしているわけで、「おれは四次元の女にしか興味がない」と言っても、割りに普通のことだったりするのだった。