テレビをつまらなくしたのは誰か

 おれはテレビを全く見なくて、おそらく正月に実家に帰ったとき以来、かれこれ10ヶ月くらいは見ていないと思う。

 YouTubeなんかで昔の番組を見ることはある。今の時代なら許されないだろうなー、というような過激な表現が時々あって、ドキッとすることがある。あるいは、ある種、差別的な表現。

「女の腐ったようなやつだ」

 なんていう言い方、今なら許されないだろう。女の腐ったような、ということは女は腐ってないからいいじゃないか、男の腐ったやつよりよっぽどマシだろう、と思うのだが、おそらくこの手の表現を嫌う人はそんなことを言うと、キィ、と来るのだろう。

 まあ、いかんせんテレビを見ていないのできちんとした比較はできないのだが、どうもコンプライアンスという名のもと、制作現場はさわらぬ神に祟りなし、というムードがあるらしい。コンプライアンスに違反したら、誰がどう困るのか、コンプライアンスとはそもそも何か、ということもよくわからないが、おそらくテレビ局には内規があって、風紀委員みたいな役柄の社員がいて、過激な表現が出ると、キィ、と騒ぐのだろう。

 何かあると視聴者がすぐテレビ局に抗議する、という話も聞く。無料で番組を見ているやつがガタガタ言うな、とも思うのだが、抗議する人には抗議する人の正義があるのだろう。「もし子供が真似したらどうする」「子供が汚い言葉を使って困る」「子供に悪影響を与える」等々、子供を持ち出すとだいたいがかなわないことになっている。

 テレビに限らず、ネットなんかでもすぐキィ、となる人が出てきて、世の中ギスギスしているなあ、余裕がないなあ、というふうにも思う。もう少しおおらかに過ごせる世の中だとお互い楽だし、楽しいし、と思うのだが、なかなかそうはいかんのだろう、それぞれの人に精神的な余裕がないと。