柳沢氏は、「あとは(子供を産むよう)一人頭で頑張ってもらうしかない」とも言ったそうで、むしろこっちのほうが問題発言かもしれない。
ま、しかし、厚労相の立場からすると、年金にしろ、医療費にしろ、出生率は上がってもらいたいだろう。
「一人あたりの子供の数が増えてほしい」、「一人あたりの子供の数が増えるよう、政策を考えなければならない」ということを「一人頭で頑張ってもらうしかない」と言ってしまったんではないか。
やたらと柳沢氏の肩を持つようなことを書いているけれども、わたしは別に柳沢氏の支持者ではない。安倍内閣を支持しているわけでもなければ、自民党のシンパですらない。
柳沢氏が厚労相をやっていることを、今回の騒ぎで初めて知ったくらいだ。
ただ、「おれだって、とっさにそんなたとえを言ってしまうかもしれないなあ。サービス精神で。何せ、統計の話だからなあ」と、「明日は我が身」のように思っただけである。
まあ、柳沢氏がしくじったのは間違いない。こと細かに釈明しないのは、何を言おうと、火に油を注ぐだけだからだろう。
野党の議員に「(取り消したけど)本音だ」、「思ってなければ出てこない発言だ」という意見があったという。
そうか? と思う。
例えば、会社でも、「あいつは飛び道具だから、使い方、気をつけないと」なんて話をすることもあると思う。じゃあ、本当に「あいつ」を「道具」と思っているかというと、そんなことはないだろう。
パスカルに「人間は考える葦である」という言葉があるが、じゃあ、パスカルが本音で人間を「葦」だと考えていたかというと――え、あ、本当にそう考えたんスか。パスカルさんは。はあ。人間なんざ、葦だ、と。すげえ。
まあ、敵失に乗じる、というのは、与野党攻防の基本だから、野党が叩くのは、勝手にドゾ、だ。
ヤな感じを受けるのは、近頃の(か昔っからか知らないが)、あいつはやっつけるべきヤツだ、「正義」はこっち側にある、となると、わーっとよってたかって袋だたきにする風潮だ。
柳沢氏のことに限らない。でもって、冤罪らしい、ということになると、風向きがガラッと変わる。
源平や関ヶ原じゃないんだからさー。ああ、それでオセロってのは、日本で生まれたのか。
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「今日の嘘八百」
嘘三百四十五 わたしは飯食って、ウンコして、日記書く装置なんですけどねえ。