映画「ウィンストン・チャーチル」を見た。
ゲイリー・オールドマンのチャーチルへの化けっぷりも素晴らしく、なかなか迫力のある映画だった。
youtu.be 予告編の後半にも出てくるが、イギリスの国会の下院は与党と野党が向き合うかたちになっていて、侃侃諤々の議論が繰り広げられる。議長は与党と野党の議席の間にいて、議論をさばく。
少し前、イギリスのEU離脱が論じられているときには、バーコウ議長(今は引退)の名調子が話題になった。ダミ声で「オッダー、オッダー」(静粛に、静粛に)と唱える独特の節回し(?)と、ユーモア、ウィットに飛んだ擬似進行ぶりは、英語がよくわからなくても見ていて面白かった。
YouTubeには動画がたくさんあがっていて、どれも見ていて面白い(ブレグジット騒ぎでバーコウ議長はヨーロッパ全体で有名になり、随分とファンが多いらしい)。
こういう活発な議論は長い議会の歴史の中で培われてきたものなのだろう。一方で、与野党が向き合って、議長が間に立って裁くという議会の建築の形も、おそらく活発な議論を助けていると思う。
日本の国会は大陸型と言われるかたちで、弧状に議席が広がっている。
アメリカも、フランスも、ドイツもこのかたちだが、内閣の席が議員よりも高く、見下すようなかたちになっているのが特徴だ。戦前からの、行政(国家)が偉い、という意識が表れているのかもしれない。議長は内閣と同じ並びにあって、まるで内閣の代表のようにも見える。
人間は毎日見ているものによって意識(あるいは潜在意識)を形づくられる。議院の空間的な形は議会のあり方、あるいは議論の仕方に影響を与えていると思う。
日本の小選挙区制の導入は二大政党をつくることが目的だったが、それならば、思い切ってイギリス型の与野党が向き合う議院をつくるべきだったのではないか。いや、今からでも遅くないと思う。与党の傲慢さと、野党の無力に近いテイタラクを見るにつけ、議会の空間やシステムも含めて、もっとできることはあるだろうと思う。