団塊の世代をビートルズ世代と呼び換える流れがあるようで、ンンンンー、と、わたしは微妙な感覚になるのである。
実際には、団塊の世代のほとんどが、若い頃、ビートルズなんぞ聴いていなさそうだからだ。
団塊の世代で、ビートルズを同時代体験した人の話では(渋谷陽一とか)、「嘘つけ」だそうである。ビートルズを聴いていたのは、クラスにせいぜいひとりかふたりだったとか。
日本でビートルズの評価が定まったのは、彼らの解散後(70年以降)のことらしい。
彼らの曲の中には、確かに優れたものもあり、ポップで口ずさみやすいものもある。
しかし、同時代の日本では、ビートルズといえば海の向こうで何やら騒ぎを起こしているやつら、ということが第一であり、音楽は二の次だったのだろう。
曲を聴いていたのは、クラスの中の変わり者の部類で、他の人々は、もっとしょぼい音楽やしみったれた音楽を聴いていたのだと思う。
団塊の世代の多くが、70年代以降にビートルズの曲をいいと思うようになったのなら、別にわたしらと変わりない。
「ビートルズ世代」という言い方は、極端に言えば、欺瞞ですらある。