まあ、しかし、「団塊」の世代、という言い方も気の毒ではある。
何しろ、「かたまり」の世代だ。目方で量っているみたいで、本人達からすると、ちょっとねえ、だろう。肉買おうってんじゃないんだから。
言い換えるとしたら、何がいいだろうか。
アメリカとも合わせるなら、ベビーブーマーだろう。第二次世界大戦の後、太平洋を挟んで、やたらと赤ん坊が生まれた。
生むことが流行ったというより、戦争が終わってほっとした、愛しいジョニーや磯吉さんも帰ってきた、ということが理由だろう。後は、まあ――手軽な娯楽としてね、ええ。何かと不足気味の折りだったでしょうし。
ベビーブーマーを日本語に訳すなら、赤ちゃん流行世代だが、語呂が悪すぎる。かといって、ベビーブーマーそのままではアメリカのマーケティング用語みたいで、今いちしっくり来ない。
音楽で言うなら、ビートルズ世代より、グループサウンズ世代か、フォーク世代のほうが合っているだろう。
ただ、ビートルズが音楽を越えた時代の象徴の位置についてるのに比べて、グループサウンズやフォークはそれほどでもない。
日本の流行音楽の中では一時代を築いたが、時代全体を表すところまでは行っていないだろう。
全共闘世代という言い方もあるようで、こちらのほうが時代を象徴している。
もっとも、「全共闘世代の定年退職後は〜」というのも、何だか変な感じである。
「全共闘世代の皆さんへ。悠々自適の安心ライフは○○証券の○○ファンドで!」なんて宣伝文句があったら、皮肉すぎる。
いっそ、浅間山荘世代とか、日本赤軍世代なんてのはどうか。いやいや、冗談です。
団塊の世代の人々は、案外、ビートルズ世代という言い方に抵抗がないようで、ある調査では、45%の人が「言い換えるなら『ビートルズ世代』」と答えたそうだ。
しかしねえ、人生の諸先輩方に失礼ではあるが、それはツクリ過ぎだろう。
まあ、とりあえず、うわべのイメージのよさで繕っておくっていう手はありますが、逆に安っぽく見えますよ。インチキくさいし。
定年退職してからハッパやって、シタール弾いて、ベッドインするっていうんなら、いいけど。
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「今日の嘘八百」
嘘三百四 本当はね、あの世代だけは、かたまって生まれてきたんです。蛇のボールみたいに。