何となく昔に同じようなことを書いた気もするのだが、もはやわたしの記憶はラーメン眼鏡。
曇ってよく見えない。
魔法の言葉というのがあって、それを放っただけで世界は変わってしまう。
「テクマクマヤコン」や「エコエコアザラク」、なんていうのが昔は有名だったけれども、ああいうのはわたしの守備範囲ではない。
では、わたしの守備範囲が何かというと、付いただけで物事をダメ化してしまう、バイ菌のような言葉だ。
今日、お目にかけたいのは「やっぱり」である。
インタビューの書き起こしをするとよくわかるのだが、会話、特に突っ込んだ質問に対する答には、「やっぱり」という言葉がとてもたくさん入る。
インタビューをまとめる仕事の何%かは、「やっぱり」をつぶしていく作業である。
「やっぱり」の使い方はいろいろある。
「(ちょっと考えに迷ったけど)やっぱり」という逡巡の場合もあるし、「(ワタクシなんぞがこんな偉そうなことを言うのはどうかと思いますけれども)やっぱり」なんていう遠慮や卑下、謙遜の場合もある。
あるいは、日本語に特徴的な言葉を弱める使い方の場合もあるし、単なる口癖の場合もある。
でもって、この「やっぱり」を付けると、あら不思議。いろいろなものがダメになってしまうのだ。