魔法の実験

 例えば、有名な年号の暗記法に付けてみよう。


一三三三(いちみさんざん)、やっぱり、鎌倉幕府滅びる。


 鎌倉幕府は、だいぶ前からよほどダメだったのだろう。
「滅びそうだね」、「うん、そろそろ滅びそうだ」、「あー、やっぱり、滅びちゃったー」というわけで、おおかたの予想通りだったのだ。


 できた頃はそうではなかった。


やっぱり、いい国(一一九二)作ろう、鎌倉幕府


 というわけで、多少の迷いはあったけれども、一応は「頑張ろう!」というやる気もあったのだ。


 あるいは、


いい国作ろう、やっぱり、鎌倉幕府


 と、謙虚にミナサンのご支持をお願いしてもいた。


 日本海海戦時の有名な言葉をバイ菌に感染させてみる。


敵艦隊見ゆとの警報に接し、連合艦隊は直ちに出動、之を撃滅せんとす。本日天気晴朗なれども、やっぱり、波高し。


 今ひとつ、だらしない。撃滅云々の前に、船酔いしてるんじゃないかと心配になってくる。


 日米開戦の日時を告げる海軍の有名な暗号電文。


ヤッパリ、ニイタカヤマノボレ


 裏側では、いろいろスッタモンダがあったのだろう。


 終戦後の1946年1月1日に昭和天皇が発表された「新日本建設に関する詔書」。内容が当時の国民には衝撃だったらしく、通称としてこう呼ばれている。


昭和天皇の「やっぱり、人間宣言


 そんなことはない。


 どういう魔法の作用によるものか、ダメ化しないで、謎化する場合もある。


僕の前に道はない 僕の後ろに、やっぱり、道は出来る


 そう言って、高村光太郎は不思議そうに小首を傾げたそうだ。自分が実は土方であることに気づかなかったらしい。


▲一番上の日記へ

                    • -


「今日の嘘八百」


嘘二百三十四 犬、猿はともかく、雉にやられた鬼は自己嫌悪に陥ったという。