以前、NHKに「プロジェクトX」という番組があって、わたしも時々、見ていた。
製品開発とか、巨大プロジェクトとか、大事故の救助とかを取り上げ、関係者の証言や記録などを元にそのプロセスを再現する、という内容で、視聴率が高かった。
ストーリーにはひとつのパターンがあったように思う。
少ない資源、弱小の立場、限られた時間など、キビしい状況を知恵と根性で乗り切る、というものだ。
このパターン、日本ではかなり受けるようだ。
わたしも「プロジェクトX」の何本かで、不覚にも泣いてしまったことがある。
こんなダラケたわたしでも、引いてたまるかニッポン男児のココロは持ち合わせているらしい。
今、自分でも驚いている。
――ま、しかし、考えてみれば、キビしい状況を知恵と根性で乗り切る話が受けるのは、ニッポン男児だけではない。ハリウッド映画にも、そんなパターンがたくさんある。
エー、自分で自分の話の腰をサバ折りしてしまったが、もとい。
では、少ない資源、弱小の立場、限られた時間を、知恵と根性さえあれば必ずカバーできるかというと、これがそうとも限らない。
数の限られたプロジェクトXの下には、数限りない失敗談、プロジェクト×(ペケ)*1が骨と化して眠っているはずなのだ。
「あー、やっぱ、ダメだったー」というわけで、関係者はいまだに悔しい思いをしているか、忘れてしまいたいと思っていることだろう。
太平洋戦争でも大東亜戦争でも、呼び方はどちらでもかまわないが、先の戦争も、日本が“少ない資源、弱小の立場、限られた時間など、キビしい状況を知恵と根性で乗り切”ろうとしたものだと思う。
しかし、アメリカのあり余る資源、強者の立場、余裕のある時間に粉砕されてしまった。しかも、先方にも知恵と根性があった。これではかなわない。
世の中には、当たって砕けた、ということが往々にしてあるわけで、精神は大切だが、精神論はリスキーである。
エー、何が言いたいかと申しますと、ンー、何でしょうね?
知恵と根性があることは素晴らしいけれども、知恵と根性に酔ってはならない、と思うのだ。
ま、トンチで何とかする、っていう手もあるかな。
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「今日の嘘八百」
嘘二百三十五 アメリカのネブラスカ州では、乳牛が野良化して乳の泉を作っているという。