「つねる」ことを狙う格闘技についても書いた覚えがある。内容は覚えていない。
忘却とは忘れ去ることなり、と菊田一夫も書いている。これ幸いと、再度思いつきを書いてみる。
まず試合前だが、計量が必要だろう。
普通、格闘技の計量といえば体重の測定だが、つねる格闘技「ツネ術」では違う。体脂肪率の検査だ。
引き締まった体では、つねることのできる場所が少ない。モチッとしたスウィートスポットが体のあちこちにないと、競技が成立しないのだ。
故に、体脂肪率○%以上でないと失格、という格闘技とは思えないルールが登場するわけだが、何%以上がいいのかは医学的知識がないのでわからない。
ままよ(パパよ)、試合はこういうふうになる。
基本はポイント方式である。
ポイントの計算方法は、つねった場所×時間。
例えば、腹2点、腿3点、ふくらはぎ4点、尻3点、というように、つねる難度によって基本のポイントが決まっている。脇の下のように非常につねるのが難しい場所には、10点くらい与えてもいいかもしれない。
で、例えば腹を3秒間つねったら2点×3秒=6ポイント、5秒間つねったら2点×5秒=10ポイント、というわけだ。
相手が泣き出したらKO勝ちである。
だから、試合の制限時間が迫ってきたら、お互いに頬っぺたをつねりあったまま、目に涙をためてじっと我慢する、なんていう根性勝負も見られるだろう。
スピード、パワー(指の)、テクニック、駆け引き、精神力。見どころのたくさんある競技になると思うのだが、何だか、すでにテレビ番組で若手芸人達がやっていそうだな。
他にはどんな格闘技が考えられるだろう。手洟の引っかけ合い、髪の引っ張り合いというのは、どうも美しくない。
くすぐる、なんていうのはどうだろう。
相手を引き倒して、普通の格闘技なら関節技に持っていくところを、くすぐるのだ。笑い出したら、負け。
試合は見ていてそれなりに面白いだろうが、何だか、幸福な家庭のお父さんと息子みたいでもある。
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「今日の嘘八百」
嘘二百二十七 UFOキャッチャーをしたら、つかんだ紙に「希望」と書いてあった。