負のパワー

 昨日は、ロックンローラーとして負のパワーを炸裂させました。


 お読みになった方の中には、あるいは、不快を覚えられた方もいらっしゃるかもしれません。
 わたしも書きながら、「何をエラソーに書いているんだ、この馬鹿は!」と怒り狂っておりました。


 ラーメンにワカメを入れるからそういうことになるのございます。


 今日はお上品に書いてみたいと思います。


 さて、インターネット上のあちこちで、お下品な負のパワーが炸裂する今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか。


 何しろ、蹴落とす、引きずり下ろすのは、面と向かってやるのは勇気がいりますが、匿名で書き込むだけなら簡単なことでございます。


 ところが、敵も、蹴落としたい、引きずり下ろしたい、と虎視眈々と狙っております。


 自分では蹴落とした、引きずり下ろしたつもりでも、相手に蹴落とされ、引きずり下ろされ、何だかこちらの人格まで否定されたような気分になって、議論はお下品な皮肉や罵倒の応酬へとエスカレートしていくわけでございます。


「自分にとって都合の悪いコメントを消去するような人間に、そんなことを語る資格はない」とかなんとか、話はどんどん本質とはかけ離れていってしまうのですね。
 あさましゅうございます。


 水族館で、深海のカニをごちゃっと集めた水槽を見たことがございます。


 そのカニの人々、どういう動機なのか、しかとはわかりかねますが、お互いに相手の上に登ろうとして、益のない運動を繰り広げておりました。
 中には、長い足をからませあってしまい、動きのとれなくなっている馬鹿ガニ、あ、いえ、思考能力のいささかお低いように見受けられるカニの方々もいらっしゃいました。


 インターネットにおける蹴落とし合い、引きずり落とし合い、というのも、あのカニの人々のようなものではないか、と、かように考えるわけでございます。


 では、そういう負のパワーを否定して、みんな仲よく、楽しく生きていきましょう! と掛け声をかければいいかというと、まあ、そんなことをしても、すぐに蹴落とされ、引きずり落とされてしまうのが落ちでございましょう。
 愚かでございます。


 そもそも、負のパワーがなかったら、生きていくのはどれほどつまらないことか!


 塩味だけのお粥で暮らしていくというのは、スパイスの刺激に慣れた現代人にはいささか辛いのでございます。


 胡椒も、適量ならば料理の風味を引き立てますが、一瓶飲み込めば、ひどい目に会うでしょう。
 それと同じで、負のパワーも少量ならば人を楽しませますが、大量となると毒の作用が強く働きすぎるわけでございます。


 では、どれほどが適量か、と申しますと、これがそう簡単にはわかりません。


 唐辛子で真っ赤っかの料理を食べて平気な人もいらっしゃる。むしろ、真っ赤っかでなければ物足りないとおっしゃる。
 一方で、ちょっとでも唐辛子をなめると、だらだら汗をかいて、ヒーヒー唸る人もいらっしゃる。


 それと同じで、負のパワーの適量については、お互いの想像と交渉によるとしか申し上げられません。


 わたしの申し上げられることは、たいがい、その程度なのでございますが、お上品に書こうとしてもなかなか難しゅうございますね。
 お上品に見せかけようとして、かえってお下品に流れてしまうようでございます。


 まるで、イヤミのようザンス。シェーッ。