馬鹿と煙は高いところに上りたがる、というが、馬鹿はともかく、煙が高いところに上りたがってくれるのはありがたい。
工場の煙突から出た煙が、ドライアイスの湯気(とは言わんか)のように、だらりと下に垂れてごらん。たまらんよ、これは。
と、まあ、そんなことは、例によって、どうでもいいのであった。
わたしはどうやら馬鹿であるらしいのだが、あまり積極的に高いところに上りたがるほうではない。
展望台に上るためにエレベータの前に並んでいる人々なんぞを見ると、「フン、馬鹿どもが」と、間違って包丁の刃のほうを握ってしまったような言葉をつぶやくのだが、やっぱり、これはわたしが馬鹿だからだろう。
あるいは、上らないことで、少しでも馬鹿を丸めようとしているのかもしれないが、さて、どうなのやら。
先日、打ち合わせと打ち合わせの間にちょっと時間ができた。
場所が六本木だったので、六本木ヒルズの森美術館とやらいうところへ行ってみるべえか、とチケットを買ったら、なんとこれがアナタ、問答無用で展望台とセットなのですよ。
森美術館は五十何階だかにあり、展望台を通らないと行けないようになっている。エレベータに乗ってから気づいた。
結果として、展望台に行く馬鹿と化したのだが、いやいや、食わず嫌い、見ず嫌い、というのはあるものだ。
東京近辺に住む人は、一度、上ってみるべきですよ。それも、今の時期。
東京では、現在、あちこちで再開発が進んでいて、超高層ビルがにょきにょきと生えている。
六本木ヒルズはその中でも最も高いほうだから、数々の超高層ビルを見下ろす形になる。
あの超高層ビルというのは、エラソーにランドマークだ、ランドスケープだ、と言ったところで、つまりはアリ塚であり(あ、ダジャレだ)、人間というのはシロアリであることがよくわかる。
人間、とひとくくりにするのも乱暴か。秋田県の人やチベットの人やセント・ヘレナ島の人は違うかもしれないからね。
少なくとも、東京は、今やシロアリの都市だ。アリ塚をつくりまくっている。
これで、巨大怪獣アリクイゴンか何か、そんなのが登場して、ビルの穴からシロアリの人々をチューチュー吸い取ったら壮観なのだけどねえ。
世界征服をたくらむ団体のミナサン、やってみてくんないか。
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「今日の嘘八百」
嘘八十三 おいら、モテモテ。まいっちゃうよ。