一方で、確か、山下洋輔が、何も書くことが思い浮かばないときでも、落語口調で始めると書けてしまう、というようなことを書いていた。
エー、確かにそうだな、と思いますナ。
これはもう、落語ならではの口調があるからでございましょう。
ちょいとこう、ナニをナニして、ナニすりゃ、済む話じゃねえか。なあ。
おう、そうよ。
なんてェふうに、何の話だかわかンないけど、話だけは進む。
これはもう、口調の力でございましょう。
あたくしもこういう商売をしておりますから、結構、文章は読むほうです。
中には、いいこと書いてンのに、口調がむつかしくって、読む気にならない、なんてのがある。
反対に、別に書いてあることは何てこともないのに、口調がいいからついつい読んじゃう、てェのもある。
あたくしなんざ、時々、内容なんて実はどうでもいいんじゃないか、と思うことがありますナ。
口調がよくって、すらすら楽しけりゃ、それでいいじゃないか、なんてェふうに思うんです。
きっと根が馬鹿なんでしょう。
エー、八五郎出世をいたします。おなじみ、品川心中でございました。
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「今日の嘘八百」