落語口調

 一方で、確か、山下洋輔が、何も書くことが思い浮かばないときでも、落語口調で始めると書けてしまう、というようなことを書いていた。


 エー、確かにそうだな、と思いますナ。
 これはもう、落語ならではの口調があるからでございましょう。


 ちょいとこう、ナニをナニして、ナニすりゃ、済む話じゃねえか。なあ。
 おう、そうよ。


 なんてェふうに、何の話だかわかンないけど、話だけは進む。
 これはもう、口調の力でございましょう。


 あたくしもこういう商売をしておりますから、結構、文章は読むほうです。
 中には、いいこと書いてンのに、口調がむつかしくって、読む気にならない、なんてのがある。
 反対に、別に書いてあることは何てこともないのに、口調がいいからついつい読んじゃう、てェのもある。


 あたくしなんざ、時々、内容なんて実はどうでもいいんじゃないか、と思うことがありますナ。
 口調がよくって、すらすら楽しけりゃ、それでいいじゃないか、なんてェふうに思うんです。


 きっと根が馬鹿なんでしょう。


 エー、八五郎出世をいたします。おなじみ、品川心中でございました。


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「今日の嘘八百」


嘘五十六 「全米が泣いた!」。ハリウッド映画の誇大広告に公取委が興味。