木で鼻をくくる

「木で鼻をくくったような態度」という言葉がある。
 人を無愛想にそっけなく扱うことをいう。


 しかし、これ、元々はどういう状況を指していたのだろうか。


 木で鼻をくくるのである。



木で鼻をくくる


 アイタタタ。まさかこんな姿ではなかろうとは思うけれども。


 だいたい、これ、何を目的にした行為なのだろう。
 単に捕虜や罪人を捕まえておく目的ではなさそうだ。
 くくった側の冷酷さ、もしくはある種の感覚の麻痺を感じる。国際的な人権擁護団体が黙っていないだろう。


 もはや人権の問題が終わったところで生まれるのが、こんな状況である。



木で鼻をくくる


 まあ、確かに、そっけなく扱われてはいる。
 ここまであっけらかんと鼻が風に吹かれていると、むしろ、俳句でいう“軽み”のようなものすら感じる。


   からっ風 枝で遊びし 鼻一輪   竹蜻


 無惨も、通り抜けると、むしろユーモラスに見えるということか。


 もうひとつ考えられるのが、こういう状況だ。



木で鼻をくくる


 どういう由来の道具なのかはわからぬが、確かに木で鼻をくくってはいる。


 自分で描いておいて何だが、くくられている側の表情が不気味だ。
 ずっとくくられているうちに、痛みも、嘆きも、人間らしい感情すらも尽き果てて、無愛想になってしまったのかもしれない。


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「今日の嘘八百」


嘘十四 ナマコは海底に転がって、テツガクしているそうだ。