Y江さんのこと

 わたしの知り合いにY江さんという女性がいる。


 知り合って、五年ほどになるだろうか。Y江さんはその当時から男と同棲していた。ただし、わたしはその人と会ったことはない。


 共通の知人の話では、同棲相手は、会社勤めのY江さんのお金で遊んで暮らしているのだそうだ。昼間はパチンコ、競馬、競艇。いわゆるヒモである。
 ああ、羨ましい。違うか。


 Y江さんは四十を過ぎていて、収入もそこそこあるだろうと思う。


 一度、飲みに行って、わたしが酔眼だったせいもあり、「そういうの、どうよ?」と訊いてみたことがある。
「うん、まあね」と誤魔化されてしまった。


 よくわからないが、Y江さんは、男がそばにいなければ、というタイプの人なのかもしれない。


 三年ほど前だったか、引っ越したというハガキをもらった。住所を見ると、どうも前より安いところに引っ越したらしい。
 Y江さんの収入では追いつかなくなってきたのかな、と想像した。


 しばらくY江さんと会う機会がなかった。


 最近、先の共通の知人から、Y江さんが新しい男と暮らし始めた、と聞いた。一見、優しげなY江さんにしては意外なことに、前の男をばっさり切ったのだそうだ(日本刀かなんかで切りかかったわけではありません)。
 へええ、とちょっと驚いた。


 先週、たまたま忘年会でY江さんと会った。
 二次会のバーで隣に座り、近況を聞いた。酔眼だったこともあり(こればっかだな)、結構、踏み込んだ質問をした。


 Y江さんの話だと、新しい同棲相手は、働く意思はある。ただ、仕事が長続きしない。勤めても、せいぜい1ヶ月くらいでやめてしまう。
 1週間で仕事に行かなくなったこともあったそうだ。
 結局、暮らしていくお金はY江さんの収入に頼らざるを得ない、という。


「でもね、前のに比べると、お金は半分で済むのよ」
 そう言って、Y江さんは、あはは、と笑った。

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 というのが、省エネルギー・カーのリクツだと思うんだけどな。


 そういうクルマを実現する努力と技術には敬意を表する。


 でも、やっぱ、資源を使うわけだし。あんまり、「どうです! これ買えば、地球はバラ色(緑色か?)の未来です!!」と宣伝されると、違うだろ、と思う。


 おれは電車使ってるぜ。クルマが必要ないからだけど。


 まあ、しかし、Y江さんが(たとえ一時にせよ)幸せな気分でいられるなら、それでいいか、という気も、一方でするのである。


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「今日の嘘八百」


嘘八 あの世では年齢を虚数で計算する。