ナントカ人はこうだ、という類の話を、わたしは安易にやらないほうがいいと思っている。
また、他のことでは豊富な知識ときちんとした識見を持つ人が、ナントカ人論になると、途端に雑で乱暴な話をして平気でいられることを、よく不思議に思う。
しかし、わたしにも、その手の誘惑に負けてしまう相手がひとつだけある。イタリア人というのがそうだ。
イタリア人というのはいい加減で、怠け者で、平気で嘘をつき、自分勝手で、女好きで、おしゃべりで、いちいち大げさで、やたらと言い訳をする。そういう人々ということになっている。
イタリア人をバカにするジョークというのはいくらもある。
人生に絶望したイタリア人が線路に横たわった。8時間遅れで思いを遂げた。
なかなかシンプルでよい。もっとも、イタリアでは8時間遅れ程度ではジョークにならない、という説もあるが。
イタリアに泥棒が多いというのは有名な話だ。
イタリアで、ある男がガレージでクルマのオーディオを直していた。
配線をいじっていると、クルマが急に傾いた。
驚いてクルマを下りると、別の男がジャッキアップしている。
「なんだ、おまえは?!」
「いいじゃねえか。タイヤはおれによこせよ」
クルマといえば、イタリアのメーカー、フィアット(FIAT)のクルマはあまりによく壊れるので、アメリカでは「Fix It Again, Tony!(もう一回、とりつけてくれよ、トニー!)」の略だと言われているそうだ。
イタリア軍のヘタレっぷりというのも、伝説的だ。
第二次世界大戦中、北アフリカ戦線で、ドイツ軍の名将ロンメル将軍が同盟国であるイタリア軍の戦場を視察に訪れた。
イタリア人の指揮官が憂鬱な顔で「戦況がはかばかしくないのです。どうすればいいでしょう?」とロンメルに訊ねた。
幸か不幸か、ちょうどイギリス軍からの砲撃が始まった。
イタリア兵達は塹壕の中で身を縮め、「おお、マリア様!」と両手を組んだ。
ロンメルは言った。
「簡単です。お祈りをやめ、反撃するよう命令しなさい」
イタリアは、経済的にはミラノやトリノがある北イタリアが優位だという。
ジョークではないけれども、こんな話を聞いたことがある。
南イタリア人に言わせると、「シチリアはイタリアじゃない。あれはひどすぎる」
北イタリア人に言わせると、「南イタリアなんかと一緒にしないでくれ。あれはひどすぎる」
他のヨーロッパ人に言わせると、「あいつら、みんな一緒だよ」
国際ネタでは、こんなのも。
国連がアンケートを実施した。質問は、「世界の他の地域で起きている食料不足について、食料の足りている地域がどうすべきか、正直に答えてください」
ヨーロッパ人は、食料が不足している、という状況をうまく想像できなかった。
アフリカ人は、食料が足りている、という状況をうまく想像できなかった。
アメリカ人は、「世界の他の地域」ということを理解できなかった。
イタリア国会では、「正直に」とは何のことであるのか、現在も議論を続けている。
次のは、「イタリア人対ヨーロッパ人」というムービー。
しかしまあ、世界中でこれだけバカにされながら、これだけ愛されている人々というのも、他にないのではないか。
わたしにイタリア人の知り合いはいないが、イタリア人のことは気に入っている。
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「今日の嘘八百」
嘘五百八 普通の国は核兵器を保有することが脅威となるが、ヨーロッパではイタリア人が原子力発電所を運営するというだけで脅威になるそうだ。