イギリスのコメディ・グループ、モンティ・パイソンの初期の作品に「世界最強のジョーク(The Funniest Joke In The World)」というのがある。
イギリスのさるギャグ作家がジョークを書く。
あまりのおかしさに、読んだ誰もが笑い死にする、という凄まじいジョークだ。
まず、当のギャグ作家本人が爆笑して死んでしまう。死体の手にあった原稿を読んだ妻も笑い死ぬ。
さらには、この危険極まりないジョークを処理しようと、決死の覚悟で乗り込んだ警察官が殉職する。
このジョークの威力に目をつけたのが、第二次世界大戦でドイツと戦っている英軍だ。
新兵器として、大変な犠牲を払って(開発中に関係者がどんどん笑い死ぬのだ)、ドイツ語に翻訳する。
ジョークの威力はめざましく、塹壕で英兵達がドイツ語版を読み上げると、ドイツ兵は爆笑してバタバタ死んでしまう(英兵達はドイツ語がわからないから無事なのだ)。
森の中でジョークを言うと、木の上からドイツ兵が笑いながら落ちてくる。
ジョークの秘密を聞き出そうと、捕虜を拷問したゲシュタポが笑い死ぬ。
最後のほうはもう、隊列を組んだ英軍が、ジョークを言いながら野を行くだけで、ドイツ兵がゲラゲラ笑って勝手に死んでいく。
かくして、戦争は終結。ジョークはあまりに危険なため、野に葬られた。
――実にまあ、とんでもないネタを思いついたものである。