腰の低い人

 あらためて考えてみるとよくわからない言葉というのがあって、例えば、「腰が低い」というのがそうだ。


 人に対して謙虚で、丁寧に接する人を「腰の低い人」と言う。
 しかし、なぜ「腰が低い」と呼ぶようになったのかは、謎である。


 絵で考えてみる。
 文字通り「腰の低い人」というのは、こういう人であろう。



 確かに、腰の位置は低い。しかし、こういう人のことを、普通は「胴長の人」もしくは「足の短い人」と呼ぶ。


 腰の低い人のイメージは、たぶん、こういうものだろう。



 しかし、よく見ていただきたい。別に、この人の腰は低くない。腰の位置は、直立しているときからそのままだ。


 この人は、「腰を曲げる人」である。あえて言うなら、「上半身の低い人」。それくらいの譲歩はしてもよい。
 しかし、断じて、「腰の低い人」ではない。


 じゃあ、腰を低くしたら、どうなるか。



 だんだん、「漢字の成り立ち」みたいな絵になってきたが、それは、まあ、よい。


 この人、本当に謙虚なのだろうか? むしろ、人を馬鹿にした態度を感じるのは、わたしだけだろうか?


 では、腰を低くした状態で、お辞儀させてみよう。



 なんか、「謙虚」、「丁寧」というより、「落ちこんだ人」に見えてしまう。



ガックシ……。


 あるいは、「イキんでいる人」、「仁義を切る人」のようでもある。



おひかえなすって!


 しかし、我々の文化では、「仁義を切る人」は必ずしも「腰の低い人」ではない。むしろ、賭場で、イカサマだ、ヤオチョーだ、とドスを振り回して暴れかねない人である。


 もっとシンプルに、「電車の椅子に腰掛けようとしている年取った人」と捉えてもよい。



よっこらしょ。ああ、腰がイタい。


 自分でも何がしたいのかわからなくなってきたが、ともあれ、「腰が低い」はなぜ「腰が低い」なのか、わからないままだ。


「腰が低い」の反対は、「頭が高い」だが、これも絵にしてみよう。



 頭がほとんど、風船のように浮かんでいる。エラソーな人というより、「大変に首が長い人」である。


 プロポーションは9頭身なんだけどねえ。本人も、残念だろう。


追記:よく考えると、時代劇で商人は膝をかがめて、腰を低くしますね。ああいう格好から「腰が低い」は来たんでしょう。なんだったんだ、今日の日記は。まあ、いいやね。


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