頑張る

 では、平成の言葉狩りを始める。


「何をエラソーに」と思うだろうが、ここはワタクシの王国だ。好きにさせていただく*1


 どうもこう、気に入らない言い回しというのがある。


 昨日書いた「自己実現」というのも、ちょっとばかり引っかかる。なりふりかまわぬ感じがするからかもしれない。
 これでもわたしは、まわりへの心遣いというものに美しさを感じるタイプなのだ。行き交う人に道を譲っては、よくドブに落っこちる。


 まあ、しかし、自己実現については、やりたい人はどうぞやってくれ、という感じである。


 気にいらんのは、例えば、こんな言い回しだ。


・頑張った人が報われる社会


 頑張らんとならんのか。ガーン、である。


 この言葉は小泉さんが首相になった頃から、よく目にするようになった。いや、もう少し前かな。


「頑張った人が報われる」ということは、「頑張らないと報われない」ということでもある。


 なんだかんだ言って、世の中には頑張っている人が多い。
 そこに、さらに頑張れ、とプレッシャーをかけているようで、嫌な言葉だ。ただでさえ、ストレスの多い世の中に。


 また、さまざまな理由で頑張れない人、あるいは頑張らないほうがいい人、というのもいる。鬱病がひとつの例だ。鬱の人に「頑張れ」というのは禁物らしい。


 頑張る、ね。


 ヤクザのミナサンも、権利関係の複雑なビルでよく頑張っていますね。


 あるいは、無駄な方向に頑張る人、というのも、世の中には多い。


「ああ、これ、コピー10部取っておいてくれ」
「はい!」


 というので、1部ずつ10回コピーする若手社員。「おれって、頑張ってるなあ!」。こういうのってどうなのだろう。
 まあ、利害関係がなければ、愛すべき人物かもしれないが。


 ここらで、ちょっと一息。

*1:すみません。