言葉というのは、意味内容でわかったりわかられたりしているようなふうに捉えがちだけれども、必ずしもそうではない。
ふとこんなセリフを思いついた。
こうなりゃ、死ぬまで生きてやる。
何の、ということもないが、まあ、コピーなんかで使われそうな言い回しですね。映画の宣伝や、本の帯なんかの感覚。
しかしまあ、このセリフ、意味内容は当たり前である。生きてやろうと決めようが決めまいが、人間、死ぬまで生きるんである。こんなのも考えられる。
人間、生きていけなくなったときは、死ぬときだ。
何なのだろうか。この当たり前のことを、尋常でないように感じさせる働きは。定型化、あるいは言い回しの魔力みたいなものか。
わたしは、言葉のそうした理不尽なところ、わけのわからん場所に連れていってくれる働きが好きである。インチキくさいところがいい。