通り名

 今のR&Bやソウルのことはよく知らないが、昔のR&Bやソウルの有名どころには、それぞれ通り名があったようだ。

 例えば、サム・クックなら「Mr.ソウル」。マーヴィン・ゲイなら「マーヴェラス・マーヴィン・ゲイ」。サム&デイブは「ダブル・ダイナマイト」。

 ロック方面にはあまりないようで、もしかしたら、R&Bやソウルが優れてショー的だからなのかもしれない。つまり、ショーの開幕でMCが呼びかけるとき、「ミスター・ソウル! サ〜ム・クック!」とか、「マーヴェラス! マーヴィン!! ゲイ!!!」などとやると、キマるのだ。

 本人と通り名の相性というのもあるようで、やはり、サム・クックは「ダブル・ダイナマイト」ではないし、マーヴィン・ゲイは「Mr.ソウル」ではない。サム・クックの端正な歌と容姿には「Mr.ソウル」が合い、サム&デイブの汗くささと垢抜けなさ、そしてパワーには「ダブル・ダイナマイト」がよく合う。マーヴィン・ゲイの「マーヴェラス」は超越的な雰囲気と共に、名前の語呂からも来ているのだろうか。

 この手の通り名の王様は、何と言ってもジェームズ・ブラウンで、「ゴッドファーザー・オブ・ソウル」(ソウルのゴッドファーザー)とか、「ハーデスト・ワーキン・マン・イン・ショービズ」(ショービズ界一の働き者)とか、「ソウル・ブラザー・ナンバーワン」とか、いろいろある。しかも、自分でそう呼んでいるところが凄い。「ソウル・ブラザー・ナンバーワン」なんて、「ソウル兄弟ナンバーワン」ですよ。イカすー。

 ちなみに、ジェームズ・ブラウンにサインを求めると、「ソウル・ブラザー・ナンバーツーへ」とよく書いたそうだ。これまたシビれる。


演歌兄弟ナンバーワン