悪い人はいない

「○の好きな人に悪い人はいない」という言い回しがあって、「犬の好きな人に悪い人はいない」、「花の好きな人に悪い人はいない」なんていうのは、よく耳にするフレーズだ。


 今、Googleで「の好きな人に悪い人はいない」と検索してみると、47,500件がひっかかった。


の好きな人に悪い人はいない - Google検索


 ざっと見て、目に止まった表現を並べてみる。


レコードの好きな人に悪い人はいない


カレーの好きな人に悪い人はいない


駄洒落の好きな人に悪い人はいない


おいなりさんの好きな人に悪い人はいない


めん類の好きな人に悪い人はいない


競馬とワインの好きな人に悪い人はいない


送りバントの好きな人に悪い人はいない


 こうやって見てみると、この世に悪い人なんていないんじゃないか、と思えてくる。


 特に「おいなりさんの好きな人に悪い人はいない」には、意表を突かれた。悪い人っていったい何なのだろうか、と、人間の本質について、根元的な問いを発したくなる。


 ――30分ばかり考えた末、悪い人とは悪人のことである、という結論に達しました。


 もちろん、この手の言い回しというのは、悪い人がいないことを論証したいわけではなくて、「レコードって素晴らしい!」、「カレーってサイコーだ!」、「駄洒落っていい!」、「おいなりさんはイカすぜ!」ということを言いたいのである。


 だから、「泥棒の好きな人に悪い人はいない」とか、「営利誘拐の好きな人に悪い人はいない」とか、「政治献金の好きな人に悪い人はいない」という意見があったとしても、それは法に抵触しない範囲で勝手にほざいてよいことなのである(のか?)。


核兵器の好きな人に悪い人はいない」って意見もある。今、わたしが言ったのだが。

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「今日の嘘八百」


嘘三百四十三 宮川大助のプロポーズのセリフは「黙って俺についてこい」だったが、花子に「そら、無理やわ」と切り返された。


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