悪口

「アニメは日本が世界に誇る文化」という類の言い回しをよく見かける。見かけるたびに、“何だかなあ”というもやもやした感じと気恥ずかしさを覚える。

 まあ、基本的にはアニメが嫌いだからなのだが(アニメーションは別によい)、理屈もまったくないわけではない。

 アニメについて、「日本が世界に誇る〜」という言い回しをするのは、海外でも人気があるからなのだろう。しかし、その人気の秘密は子供っぽさにあるのであって、アニメが日本で発達したのは世界に先駆けて日本の大人のお子ちゃま化が進んだからだろうと思う。

「子供っぽい」という言い回しはあまり子供には使わない。子供について語るときは普通「子供らしい」という言い方をする。だから、「子供っぽい」というのはたいがい大人のことなのであって、しかもあまりいい意味では使わない。いい年した大人が子供っぽいというのは恥ずかしいことであって、たとえて言うなら、金歯ハゲ親父がイチゴのショートケーキに「うわああ」と大喜びするのが、可愛らしくもあるが、やはり見ていて恥ずかしいのに似ている。

 まあ、好きなものはしょうがないから、もう少し恥じらってコソコソと見ればよいのに、と思う(昔のオタクはもっと自分を恥じらっていたと思う。そういう点では大人だった)。それを、「アニメは日本が世界に誇る文化」などと臆面もなく言われると、恥部を堂々と公開されたような困った心持になる。後はあれだな、別にアニメを好きでもない人が、とりあえず何かを誇りたいから、「世界に誇る〜」などと言い出す場合もあるのだろう。文明開化以来の欧米にやられっぱなし感に対する反作用というところもあるんだと思う。

 悪口ついでに言うと、アニメというのはなぜ演出や声優がわざとらしく、しかも客に露骨に媚びるのだろうか。そこらへんも恥ずかしい。

 毒を吐いたら、すっきりした。ガキの時分に虫を捕まえてウヒウヒウヒといびっていた感覚を思い出す。申し訳ない。