駄洒落

 同世代の人々と話したり、SNSでやりとりをしているといきなり駄洒落をかまされることがある。

 年をとると駄洒落を言いがちになるのは脳の前頭葉の衰えによるのだそうで、前頭葉は感情的な衝動をセーブする役目を担っているらしい。ここが衰えると頭に浮かんだことをつい口にしてしまう、すなわちダメだとわかっていても駄洒落をつい口に出してしまう、とこういうことのようだ。

 駄洒落が世間一般に小馬鹿にされているというのは、「駄」の字がつくことでわかる。駄目、駄犬、駄菓子の駄である。昔は駄ざいおさむなんていう作家がいたりして、ああ! 駄目だ、駄目だ。

 駄洒落で笑わせるのは難しい。本人のキャラクターもあるし、もちろんタイミング、言い方、相手との空気感も関係してくる。笑いとしては実は難度の高いテクニックだと思う。

 古今亭志ん生の噺の中に、「タコが寝ていてタコね山、なんてのはどうだい?」というのがある。志ん生師匠があの口調で言うとあまりに馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。駄洒落で笑わすにもテクニックと修行とその人のニンが関係するのだろう。